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投稿日:2019.12.18 
更新日:2022.12.22 

食品工場の衛生管理対策を解説!埃や虫の侵入を防ぐための設計をご紹介

食品工場の衛生管理の整備は建物の構造や設備の整備から

全ての工場にとって内部に埃を存在させないようにする事は難しいことです。中でも食品工場は、加工を行なう空間に従業員が存在するため特に難しいとされています。 食品工場では、菌を繁殖させないために、埃が溜まりにくい、清掃しやすいという観点で設計を行なう事をお勧めします。
食中毒や異物混入を防ぐ、食品工場の衛生的な設計は最重要課題です。
この記事では、食品工場の衛生管理対策に必要な【埃や虫などの異物を混入させないための設計のポイントや計画の考え方】についてご紹介します。

飛散防止の対策

まずは、食品工場の基本と言える【飛散防止対策】について解説します。

 

外壁に窓を作らない

外壁に窓を作らないことで加工作業エリアへの虫の侵入を防ぎます。また気密性を高め外部側の気流で埃や粉が舞うことを防ぎ更に、外部との温度差が引き起こす結露を防ぎ菌の発生を防止することもできます。 一般的に法令上排煙窓の設置が必要ですが、開口は虫の侵入、外気の流入の原因となるため、極力設置しなくてよいレイアウトや方法を設計時に検討してみましょう。 また、工場内に設置されている外気を取り込む給気口についても、鳥や虫の侵入を防ぐ対策が必要です。
具体的には外部側の開口にはフィルターを取り付けることで、小さな虫や埃を除去します。

 

結露しない冷蔵・冷凍庫とは?結露問題を解決する5つのステップはこちら

 

▼工場の湿度対策については以下の記事もご参考ください。
【工場の結露対策】冷蔵・冷凍設備で結露を防ぐ方法はこちら

 

隙間を作らない

最近の食品工場建設では、壁と床の取り合う箇所は角ができないように角に丸みを出すことが常識になっています。角に丸みを出す加工にすることで掃除がしやすくなり、埃溜まりの対策ができます。 他にも電源や水の供給に必要な開口や隙間は丁寧にコーキングをおこないます。

 

蛍光灯はLEDに

近年まで一般的に使われていた蛍光灯は、虫が集まりやすい、寿命が短い、更に破損時には細かく割れ飛散するというリスクがあります。
一方でLEDは虫から見えない波長を発する、寿命が長いという特性があり、更に食品工場用に埃が溜まらない様にカバーが付いている仕様もあるので、LEDが望ましいです。

 

窓の内側に注意

食品工場によっては、見学通路から従業員の様子や作業エリアが眺められるように、窓を設けているケースがあります。
その際にも、生産エリア側の窓枠には、埃が溜まりにくい対策とともに、硝子面にも飛散防止フィルムを貼るか、破損しない仕様を選定しましょう。

 

天井や天井裏から落ちてくる埃の防止

基本的な考えとして天井は汚れや埃が付きにくい、且つ清掃しやすいよう、凹凸が無い平滑な素材を選定しましょう。
可能な限り、ダクトや配管は天井裏に設置し、フードは埃溜まりができないよう、傘状もしくは垂直な形状のものを採用する事で埃溜まりを少なくすることが出来ます。 給排気ダクト等の設備関係の配管や機器の点検を行なうための動線や出入り口を天井裏に設置することで、製造エリアへの入室が制限でき、埃や異物が製造エリアに侵入するリスクを低減させることが出来ます。 また、天井などに設置する照明器具や配管、機器の設置位置はリスク回避を考え製品が通るライン真上を避ける事を徹底すると安心です。

 

排水溝は常にクリーン、床はドライ仕様

排水溝の蓋は取り外しやすく清掃しやすい構造にしましょう。排水溝の仕様をステンレスにすることで、錆び等の劣化対策になります。排水桝をトラップ着脱式のものにし、臭気の発生や虫の侵入を防ぎます。 機械設備などから出る排水は、直接床下の排水管に入るようにルート付けることで、床を濡らさずドライで衛生的な環境を保つようにするといいでしょう。

 

ゾーニングと動線管理で埃の防止

食品の汚染防止や埃の流入を防ぐため、高い衛生度が保たれる【清潔区域】、その次に清潔な【準清潔区域】、生ごみなどが発生する【汚染区域】をゾーニングし、各ゾーンで要求される衛生レベルを保てるよう、壁や扉で明確に区切ることが重要です。 【清潔区域】の給気については、中性能フィルターや高性能フィルターの設置が必要になります。
併せて人・原料・製品の動線管理も埃の流入や埃溜まりの防止対策に役立ちます。
原材料、資材の動線は製品の動線と隔離することで、交差汚染が防止できます。
工場内のサニタリーエリアの手洗い場は、鏡にも飛散防止フィルムを付けるか、破損しない仕様を選定します。

 

食品工場におけるゾーニングの意味や重要性についてはこちら

 

リスク対策は設計時から取り組む

食品工場における衛生管理の多くは、「食の安全・安心」が大きなテーマとなっています。そこで設計時からリスク回避に向けた対策が講じられていきます。
しかし、このリスクを意識せず、食品工場を設計・建設してしまうと、「食の安全・安心」が担保された食品工場とは言えず、常にリスクが潜んだままの工場となってしまいます。 食品工場の設計・建築は、デザイン性を目的としたものではなく、「食の安全・安心」を念頭に、リスクを十分回避することが最重要と言えるでしょう。

 

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この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。