食品工場を建てる

食品工場の設計ポイントと基礎知識

食品工場を
設計するまでのポイント

これからの食品工場建設においては、HACCP対応が義務化されておりますが、衛生面や品質、効率を追求していくと自ずとHACCP対応された工場へとつながります。
また、一級建築士であれば、用途・規模に制限なくあらゆる建築物を設計することが許されています。
しかし、「許されている」ことと「できる」ことは別の話です。
一級建築士であれば、用途・規模に制限なくあらゆる建築物を設計することが許されていますが、「許されている」ことと「できる」ことは別の話であり、多くの機能が求められる食品工場は経験なく設計はできません。 これからの食品工場建設において、HACCP対応が義務化されていますが、衛生面や品質を追求すると自ずとHACCPに対応した工場になります。
加えて、食品工場設計には「要求機能の多様性」「メンテナンス性」「ジャストスペック」など高いレベルで追求しなければなりません。 そのため、食品工場設計は通常の建築物の設計よりも高い経験値が必要となり、非常に難易度の高い分野であると言えます。

食品工場の建設にあたって

設計前に考慮すべき環境要因

ENVIRONMENTAL FACTORS

用途地域の確認
都市計画法や建築基準法によって工場が建てられない場所があるのはご存じだと思いますが、すでに工場が建っていても新たな増築や建て替えができない場合もあるので、計画の前には行政への確認が必要です。
建蔽率・容積率の制限
建蔽率や容積率など規制は知っていても、工場を建てる場合には工場立地法や地域特有の条例など様々な法令の制約を受けることがあるので、一般的な建蔽率や容積率の検討のみで計画を立てるのはやめましょう。緑化エリアや太陽光発電を用いることで制限をクリアできることもあるので、敷地を最大限有効利用するには専門家への相談が必要です。
支持地盤の特性
建物を建てるには支持する地盤が重要です。地盤調査をし支持層を見つけることから始まり、どんな建物を建てるかでも基礎の方式が変わってきます。過去には総額7億円の工事で1億円の杭工事費用がかかった例もあります。調査段階で問題はなくても、実際に工事が始まってから埋設物が見つかるとコストや工期が増える場合があります。
塩害対策
計画地が海沿いの場合は塩分を含んだ海風が建材を腐食させてしまう塩害があるため、対策が必要となります。配管や空調機器に至るまで対策をする場合はコスト増に繋がるため対策をどこまで行うかも併せて検討が必要です。
臭気・騒音対策
扱う商材や機械によって臭気や騒音が発生する場合、民家が近くにある場合はたとえ基準値をクリアしていたとしても、後々クレームが発生する場合があるので、近隣住民の立場に立った対策をしておく必要があります。竣工後にクレームがきて操業停止とならないためにも周到な計画と余裕を持った対策が必要です。
排水対策
食品工場では排水を規定値以下にする必要があります。排水した水が最終的に海に放流されるため、その海の制限を受けるエリアも多く、一般的な排水設備以上の能力を備える必要があります。併せて公共下水の排水管の管径も能力が足りない場合は本管の改修が発生する場合もあります。
井水の検討
食品工場では水を多く使用するため、井水の仕様を検討する企業様が多いが、井水は取水制限や水質の問題、井水が出ない場合もあるため、条件が悪ければ対策費用として余計な費用が発生します。
電気容量
計画している建物の電気容量に対して、引き込める電気容量が不足している場合は、新たな受電設備の設置に高額なコストと期間が必要となった事例もあります。将来的な電気容量の増加を見越して余裕を持っておく必要もあります。太陽光発電で電力不足を補うことは可能だが、蓄電設備の整備も含めて高額となるので、費用対効果を考えると緊急時のBCP対策や生産エリアでないエリアへの補助的な電源供給までが現実的と思われます。
土壌汚染対策
特に大規模な工場を建設する場合、土壌汚染対策は軽視できません。土地の利用履歴から土壌汚染が懸念される場合には大掛かりな調査が必要となるケースがあります。また、残土についても昨今は非常に厳しく処分が困難なのであらかじめ敷地内で有効活用することを想定しておいた方が良いでしょう。
防虫・防鼠対策
防虫防鼠対策は、主に建物の仕様で解決することが多いですが、生態系を確認し設計段階から対策を考えておく必要があります。
遮熱・風・降雨・積雪
エリアによっては条例で対策基準を持っていることもありますが、年々自然災害の威力が高まっており、基準だけを鵜呑みにせずBCP対策と合わせてリスクヘッジする必要があるでしょう。

食品工場建設のポイント

POINTS FOR BUILDING A FOOD FACTORY

ゾーニング

HACCP対応の食品工場を建設する場合、ゾーニングや導線計画が非常に重要です。食品工場には、様々な設備を導入しますが、「どのような設備を導入するのか?」と同じくらい「どこに配置するのか?」ということも大切になるのです。例えば、作業者が仕事を始める際、「更衣室で着替える→エアシャワーでゴミを落とす→作業に従事する」というような業務フローをイメージしたとすれば、どのような設備の配置が良いでしょうか?最も効率的で衛生面の強化が図れる方法は、更衣室の後にエアシャワーを設置して作業場に入れるような施設構造にすることでしょう。
ゾーニング

導線計画

食品工場の設計段階から業務フローをイメージして設備の配置を決めることが非常に重要です。そうすれば、不要な設備を増やすことなく、設備の導入にかかるコストも少なく済みます。
導線計画

入退場計画

手洗い設備は自動水栓式など、直接手で触れなくても良い構造にする。作業場に入る際には、必ず長靴の殺菌槽を通過するような構造にする。作業場の入り口は、自動ドアなどドアノブに触れなくても開閉するものにする。
入退場計画

メンテナンス性

埋め込み式照明やカバー付きの照明を採用したり、制御盤上部に斜材で埃除けを設けるなど配慮をし、埃だまりを少なくすることで、

天井内

メンテナンス通路

生産
エリア

長尺鋼板断熱パネル(天井)、傾斜シャッターボックス、合成樹脂塗装(床)、強化合わせガラス、見学者通路

メンテナンス性

ジャストスペック

生産設備機械のレイアウトと機械のスペックを満たす電気や給排水などインフラ面の設計、壁や床の材質、防水・防音・断熱レベルなど予算に合わせてバランスをとる。
ジャストスペック

結露対策(温湿度管理)

MEASURES AGAINST CONDENSATION

食品工場で最も大切なのが結露対策です。結露自体が悪いわけではなく、結露による菌の発生が問題となります。それ以外に、結露による漏水や凍結で設備の不具合が起こったりといったケースも見受けられます。 結露は事前のシミュレーションが難しく、季節と天候の組み合わせで様々なパターンがあり、実際に生産機械を動かして初めてテストができるので、可能な限り想定はするものの、稼働後の対策を予め想定しておく必要があります。 これまでにも設計段階の想定では問題なくても、稼働してから従業員の想定外の行動によって、使い方や室内環境が変わったりといったケースが多数見受けられます。

稼働してからじゃないとわからないので、アフターフォロー対応など

アフターフォローが大切

結露は季節と天候で発生条件が変わるので、なるべく外気と触れないことも大切ですが人が行きかう工場では限界があります。季節が絡むので竣工後1年間はどういった状態で結露が起こるのかその都度記録し、おおよその発生原因を建設会社と共有し、是正してもらいましょう。

衛生面での認証対応

COMPLIANCE WITH HYGIENE REGULATIONS

HACCP

HACCP

Codex委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)が作成した食品安全システム構築のための指針や、農林水産省によるHACCP支援法、都道府県レベルで独自の認可する地方自治体独自認定など

ISO 22000

ISO 22000

HACCP(食品安全ハザードのリスク分析の手法)+ISO 9001(マネジメントシステム)食品安全マネジメントシステム国際規格

FSSC 22000

FSSC 22000

ISO 22000(食品安全マネジメントシステムの国際規)+PAS220(食品製造における食品安全のための前提条件プログラム)国際食品安全イニシアチブ(GFSI)が制定したベンチマーク認証規格

付帯施設

ANCILLARY FACILITIES

クリーンルーム

クリーンルーム

保管

保管

物流

物流

事務所

事務所

複利厚生

複利厚生

食品工場に求められる設備や機能は幅広く、また注意すべきポイントも多い一方で、すべて費用に影響します。
通常の設計士では手に負えない難易度の高いプロジェクトだということがご理解いただけたかと思います。
計画から設計段階においてかなりの時間を要しますので、計画自体をまとめ上げられる会社に依頼することを強くお勧めします。
以上が設計までのポイントになりますが、次のSTEPでは最終的なコストやパートナーの選定、プロジェクトの進め方などをご確認ください。

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