革新/改善
投稿日:2021.01.22
更新日:2024.07.09
今回は、冷蔵・冷凍設備の天敵である『結露』の基礎知識についてご紹介していきたいと思います。
結露については、一般住宅などでも問題になることが多く、どのような建物だとしてもできるだけ結露が発生しないように、さまざまな対策がとられています。この結露は、室内と室外の気温差が大きな原因となるのですが、食の安全のために冷蔵庫や冷凍庫、低温作業室が備えられている食品工場や冷蔵倉庫などでは、部屋ごとの気温差が大きくなることから、非常に結露が発生しやすい条件が揃っていると言えます。したがって、こういった施設では計画段階から細心の注意を払い結露対策に取り組まなければいけないのです。
そこで今回は、そもそも結露がどういったメカニズムで発生するものなのか、結露問題を解決するにはどういった対策を取れば良いのかをご紹介します。
Contents
結露は、湿度が高い環境で冷たい表面に水蒸気が凝縮する現象です。具体的なメカニズムは以下の通りです。
1.温度差による冷却:結露は、室内の湿度が高いと、冷たい表面(窓ガラス、金属、壁など)に水蒸気が接触することで発生します。冷たい表面は、室内の温度よりも低いため、水蒸気が冷却されて液体の水として凝縮します。
2.湿度の影響:湿度が高いほど、室内の空気中に含まれる水蒸気の量が増えます。湿度が高い状態で冷たい表面に接触すると、結露が発生しやすくなります。
3.適切な換気の欠如:適切な換気がない場合、室内の湿気がこもりやすくなります。湿気がこもると、結露のリスクが高まります。
結露を防ぐためには、適切な換気を行い、室内の湿度を管理することが重要です。
それではまず、結露のメカニズムについて簡単にご紹介しておきましょう。
結露というものは、気温差が激しい冷蔵・冷凍設備だけに起こるものではありません。例えば、私たちの普段の生活の中でも、冷たいドリンクの入ったコップの外側に水滴がついたり、寒い冬場に室内側の窓ガラスに水滴がつく現象なども結露です。一般論としては、「床・壁・天井で区切られた空間同士において、それぞれの空間の温度差が大きくなった場合、高温側の空間に表面結露が発生する」とされています。
結露のメカニズムとして覚えておきたいのは、暖かく湿気を含んだ空気が室外側(または室内側)から冷やされることで、暖かい空気に含まれる湿気が凝縮し、結露(水)に代わるものだとイメージしておけば良いでしょう。そのため、湿度が高い環境であるほど結露が発生しやすい状態になります。更に、冷凍設備の場合は、結露により発生した水滴がさらに冷やされ霜や氷となります。このメカニズムから分かるように、冷蔵・冷凍設備が多用される場所において、結露を完全に防ぐことは非常に困難なことなのです。それでは、食品工場などで結露が発生した場合、どういった弊害が出るのでしょうか?
一般住宅などでも、建物の劣化を速めてしまうリスクがあると言われ、大きな問題と捉えられていますが、お客様の商品を製造・保管する食品工場や冷蔵倉庫などで考えた場合、一般住宅とは比較にならないほどの弊害があるのです。
以上のように食品工場において結露は多くの弊害を引き起こすため、結露を発生させないために適切な対策を講じる必要があります。
工場内で結露が発生すると、設備の劣化やカビの増殖など、さまざまな問題が生じる恐れがあります。ここでは、工場で実施すべき4つの結露対策を紹介します。
室内外の温度差の影響を軽減し、適切に管理することが結露の発生を防ぐ重要なポイントです。湿度を低く保つことで空気中の水蒸気が結露する可能性が低くなるため、除湿器を設けたり、そもそも設計時の条件より低温多湿にならないよう、定めた運用を守ることが重要です。
断熱性能を有する断熱パネルは、工場外部の温度変化から工場内部を遮断し、内部の温度を安定させることが出来ます。必要な厚みの断熱パネルを選んで設置することで、結露が発生しにくくなります。
エア搬送ファンは室内に空気の流れを作り出し、換気や空調環境を改善できる送風システムです。導入することで、工場内に滞留した蒸気や熱を外へ排気し、結露の発生を抑制します。
生外気を直接取り入れると工場内と空気との温度・湿度の差で結露が生じやすくなるため、外気処理機を使用して空気を適切に調整することで結露の発生を抑制できます。
上記の結露対策を組み合わせることで、工場内の結露を最小限に抑えることができます。特に食品工場などの環境では衛生面や製品品質の観点から、結露を発生させにくくします。
それでは、多くの食品関連施設で悩みの種となる、冷蔵・冷凍設備で発生する結露問題を解消するためにはどうすれば良いのでしょうか?
上述したように、結露というものは気温差や換気の際などに高温で湿度が高い外気を取り込むことが原因で発生します。冷蔵・冷凍設備となれば、外気温との差がかなり大きくなるため、何らかの作業を行う際に扉を開けただけでも、その隙間から水を含んだ暖かい空気が侵入してしまい、結露が発生してしまうのです。一般住宅の小さな冷蔵庫などであれば、付着したちょっとした露をタオルで拭き取るなどとすれば、簡単に取り除くことも可能なのですが、大きな設備となれば手作業で結露を取り除くのは現実的ではありません。したがって、食品関連施設が抱える結露問題については「発生させないためにどうすれば良いのか?」という視点で対策をたてる必要があるのです。
ファクタスでは、結露問題に頭を悩ませている方のため、徹底的な調査のもと根本的な結露対策を提案致します。基本的に以下のステップで、現状の問題点を把握し、施設に最適な結露対策をご提案しています。
ここではFactasの工場結露対策の施工事例を紹介します。
今回は、冷蔵・冷蔵設備を多用する食品関連施設の悩みの種となる結露問題について、そのメカニズムや弊社が行っている結露問題の解消ステップをご紹介しました。この記事でもご紹介しましたが、結露というものは、一般住宅などでも頻繁に発生するもので、現在の環境によっては結露の発生に慣れてしまい「結露が発生するのはしょうがない…」なんて諦めている場合もあるのではないでしょうか?
しかし、さまざまな食品を取り扱う施設で結露を放置してしまった場合、結露が原因となりカビが繁殖し、異物混入事故の原因となってしまいです。そうならないためにも、早めにご相談ください。
三和建設では結露対策を実施した工場・倉庫の建設やHACCP対応の食品工場建設の事例が多数ございます。
食品工場建設や改修をご検討の際は是非ご相談ください。
この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。