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2022.08.10

セントラルキッチン化による販路拡大?その前に抑えておくべき課題と解決策について

新型コロナウイルス感染症問題が長引く中、外食産業はさまざまな問題を抱えています。そして、コロナ禍の飲食店が抱える悩みを解決する手段として改めて注目を浴びているのが、各店舗の調理場を一箇所に集約させるというセントラルキッチン方式です。
前回以下の記事でセントラルキッチンの導入により得られるメリットについて解説しています。
セントラルキッチンの仕組みと導入により得られるメリットについて

セントラルキッチンは、もともとファミリーレストランなど、多店舗展開をしているチェーン店において、調理場を一箇所に集約することで、各店舗における設備費や人件費、食材の仕入れコストなどを大幅に削減することが可能だとされています。そして、コロナ禍の現在、こういった仕組みは、経費削減だけでなく、従業員の感染予防対策としても有効だと判断されるようになっています。実際に、新型コロナウイルスによるダメージからの回復を促すために行われている『事業再構築補助金』でも、飲食店でのセントラルキッチンの新設・活用事例が目立つようになっています。

ただ、外食産業にさまざまなメリットをもたらすとされているセントラルキッチンですが、いくつか注意しておかなければならない問題も存在します。そこでこの記事では、これからセントラルキッチンを活用した販路拡大などを検討している方のため、セントラルキッチン方式に潜む問題点とその解決法をご紹介します。

参考:セントラルキッチンを新設・活用した事業再構築の事例集(第1・2回公募)
 

セントラルキッチン導入前の検討ポイント

セントラルキッチン方式の導入は、複数店舗を展開している飲食チェーン店において、調理場を一箇所に集約することができることから、各店舗に複雑な厨房設備を導入する必要がなくなることで、新しい店舗を出店する際のコストを削減でき、建設用地を探しやすくなるなどのメリットが非常に大きいです。他にも、店舗に配置する従業員については、高い調理スキルなどが必要ないことから、幅広い層から人材募集ができるようになったり、単純に店舗を回すための人員を削減できるなど、人件費削減効果も非常に大きいです。

こういったメリットから、新型コロナウイルス問題で大きなダメージを受けている飲食業界では、セントラルキッチン方式への転換を検討する企業が増加していると言われています。ただ、セントラルキッチン方式については、導入によるメリットがあるだけでなく、いくつかの問題を解消しておかなければなりません。

ここでは、セントラルキッチン方式に潜むいくつかの問題点と、それを解消するために考えておきたい対策について簡単にご紹介しておきます。
 

セントラルキッチン方式の課題

セントラルキッチンは、さまざまなメリットがある一方で、決して見落とすことができないデメリットも存在します。したがって、セントラルキッチン方式の導入を検討した場合、きちんと問題点を整理しておく必要があると考えてください。

セントラルキッチンに潜む代表的な問題点は以下のようなポイントです。
 

  • ランニングコストの問題 セントラルキッチンは、複数店舗の調理を一箇所に集約するので、どうしても施設としての規模が大きくなりがちです。また、各店舗に調理のための人員を配置するよりは少なくなるかもしれませんが、施設規模が大きくなれば、製造の効率化を図らなければセントラルキッチンで多くの人員が働くことになり、施設の規模が大きくなり逆にランニングコストが必ずかかってしまいます。そのため、年間を通してある程度の稼働率を確保し効率化をはかれないと、食品ロスや無駄な人件費がかかってしまうなど、店舗調理方式よりも非効率になってしまう恐れがあります。
  • 食品の鮮度の問題 セントラルキッチン方式を導入した場合、一度調理したものを各店舗に配送するという工程を挟むことになります。当然、店舗で調理してお客様にそのまま提供する方式よりも、食品の鮮度が落ちてしまうことになります。したがって、「各店舗への配送」という工程を挟んだとしても、食材の品質をきちんと保てるような商品開発や、配送のノウハウを構築する必要があります。
  • 食品ロス問題 店舗で調理する場合、注文を受けてから調理を開始することになるので、発注ミスなどを起こさない限り、大量の食品ロスが生じてしまう可能性は低くなります。しかし、セントラルキッチン方式の場合、あらかじめ大量に調理してから各店舗に配送するわけですので、店舗での注文数が想定以下になってしまうと、セントラルキッチンから配送された食品をさばききれず、大量の食品ロスが発生してしまうわけです。飲食業界の難しいところは、繁忙期や閑散期など、季節による消費量の変化だけでなく、その日の天候などによって注文数などが大幅に変わってしまうことから、セントラルキッチン方式では食品ロスを起こしやすくなると考えられます。

このように、セントラルキッチン方式にもさまざまな課題が山積しています。実際に、セントラルキッチン方式は、一定以上の稼働率を確保できなければ、かえってコスト増に陥ってしまうという非常に大きな問題点が存在します。
 

セントラルキッチンの課題解決は急速冷凍技術?

上述したように、セントラルキッチン方式は、何もメリットばかりが存在するのではなく、非効率な形で導入してしまうと余計にコストばかりがかかってしまうことになるリスクが潜んでいます。

そして、こういったセントラルキッチンの課題を解決するための技術として注目されているのが『急速冷凍』です。急速冷凍技術の詳細については、以前弊社が運営するオウンドメディア内で紹介していますので、「最新の冷凍技術!急速冷凍技術『プロトン凍結』がスゴイ!」という記事をご参照ください。

急速冷凍は、簡単に言うと、食品の品質を落とすことなく冷凍することができる技術のことです。皆さんのご家庭にもある通常の冷凍庫などであれば、冷凍する際に氷の結晶が大きくなり、食品の細胞を破壊してしまいます。そのため、冷凍した物を解凍して食べると「あまり美味しくない…」という感想になる方が多いわけです。当然、飲食店で提供する料理は、そのような品質が落ちた食材を利用することができません。
これが急速冷凍であれば、細胞の破壊を最小限にまで抑えることができますので、解凍後も元の状態に復元することができ、美味しく食べられるとされているわけです。つまり、セントラルキッチンに、急速冷凍機を導入しておくことで、各店舗で提供する食品について、調理完了後にすぐに冷凍し、味や品質を保ったまま配送・保存が可能になります。これにより、以下のような問題が解決できると考えられています。
 

  • 鮮度の問題を解決できる 急速冷凍技術は、細胞の破壊を最小限に抑えることができますので、出来立ての状態を維持したまま凍結することができます。そのため、店舗で提供する直前に解凍処理すれば、食品の鮮度落ちを気にする必要がなくなります。
  • 食品ロス問題を解決できる 急速冷凍処理をすることで、長期間、品質を保ったまま保存することができるようになるので、食品ロスを格段に少なくすることができます。
  • 稼働率の平準化が可能 食品の品質を保ったまま長期間保存できるということは、繁忙期や閑散期などを考慮して、計画的な製造が可能になります。また、突然の天候不良などがあっても、食品のロスが生じなくなりますので、稼働率の心配もなくなり、セントラルキッチンの導入でかえってコスト増になってしまう…というリスクを解消することができます。

このように、セントラルキッチン方式に潜んでいる課題については、そのほとんどを急速冷凍技術によって解決することが可能です。さらに、急速冷凍は、セントラルキッチンの問題点を解消するだけでなく、メリットをさらに伸ばす効果も期待できますので、セントラルキッチン導入時には合わせて急速冷凍機の導入を検討するのがオススメです。
 

セントラルキッチンの活用事例

それでは最後に、実際のセントラルキッチン活用の事例をいくつかご紹介しておきましょう。
 

ロイヤルホールディングス株式会社

まずは、ファミリーレストラン『ロイヤルホスト』を展開するロイヤルホールディングス株式会社の事例です。ロイヤルホールディングス株式会社は、自社サイトで「セントラルキッチンのパイオニア」と自称しているように、一括調理から冷凍輸送まで一貫したセントラルキッチンを日本で初めて導入した企業として有名です。

ロイヤルホールディングス株式会社では、東京と福岡に大規模なセントラルキッチンを運営しており、なんと福岡工場は1962年(昭和37年)から稼働しているとのことです。ロイヤルホールディングス株式会社が運営するセントラルキッチンの詳細は、以下の公式サイトで確認してみてください。

> 工場のご紹介
 

株式会社ナリコマエンタープライズ


株式会社ナリコマエンタープライズは、2022年3月から「神戸セントラルキッチン」を稼働しました。上の動画でもわかるように、神戸セントラルキッチンではICTを活用した製造工程の自動化が実現されており、公式サイトによると「既存セントラルキッチンの2倍の生産体制を実現」としています。神戸セントラルキッチンの詳細は、特設ページが用意されていましたので、以下リンクを確認してみてください。

> 神戸セントラルキッチンについて
 

まとめ

今回は、セントラルキッチンの導入を検討中の企業様に向けて、セントラルキッチン方式の課題とその解決策を簡単にご紹介してきました。コロナ禍の現在、飲食業界ではコスト削減が重要な課題となっており、セントラルキッチンへの注目度が急激に高くなっています。

セントラルキッチン方式の導入は、食材の仕入れを一本化することで仕入れコストを削減したり、人件費や設備費の大幅な削減が可能だということから、飲食店が抱える問題を解決してくれる非常に心強い味方のように考えられています。しかし、セントラルキッチン方式は、メリットばかりが注目されているのですが、実際に導入する場合、デメリット面をきちんと押さえておかなければ、かえってコスト増になってしまうリスクが存在します。

この記事では、セントラルキッチンに存在する課題と、その解決策を簡単にご紹介していますが、他にも注意しなければならないポイントはたくさん存在します。特に、『食』を取り扱う施設では、法的な規制や取得しなければならない認証なども多く、幅広い専門知識が無いとなかなかスムーズに運用することが難しくなっています。これから、セントラルキッチン方式の導入を検討している方がいれば、ぜひ、食品関連施設の実績が多い建設会社【三和建設株式会社】にご相談ください。

この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。