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建築

投稿日:2022.04.08 
更新日:2023.11.07 

食品工場の改修、増築を検討するタイミングと成功させるためのポイント

どのような建物でも同じですが、一度建てた建物を一生涯、そのまま使い続けることはできません。工場や倉庫などの大規模施設はもちろん、戸建て住宅などでも、日射や風雨の影響を常に受け続けていますので、そこに存在するだけで、徐々に劣化が進行してしまうことから、適切なタイミングでメンテナンスを行わなければいけません。そして、適切なメンテナンスを行っていたとしても、いずれ建て替えなどが必要になる時が来ます。

さらに食品工場などの営業目的の施設で考えると、建物に手を加えるタイミングは『劣化』だけにとどまりません。例えば、施設内で使用する生産設備を更新するとなれば、作業動線を変えなくてはいけなくなることから大幅にリニューアルをするケースや、単純に事業を拡大することになり、工場の規模を増設するということも考えられます。現在よりも売り上げを伸ばす、生産性や業務効率を向上させるといった前向きな目的で建物に手を加えるケースも非常に多いです。

そこでこの記事では、食品工場などの営業目的の施設が建物の改修や増築を検討するタイミングや、実際に工事すると決めた時に成功させるためにおさえておきたいポイントをご紹介します。

食品工場が改修、増築を検討するタイミングについて

それでは、食品工場など、営業目的の施設が増設を検討するタイミングから考えてみましょう。「施設を増設する」となると、コストがかかり、かけるコスト以上のメリットが得られると考え増設を決めるのが一般的です。
ここでは、工場の増築や改修を検討する代表的なタイミングをいくつかあげておきます。

事業規模が大きくなり手狭になったから

従業員の数と施設の規模が合わなくなってきたというケースです。食品工場は、「生産ラインや装置の入れ替え、生産条件の再設定が頻繁に起きる」ことや「形状や品質が不揃いな原料を扱うことが多い」と言った理由から、ロボットなどを導入して作業の自動化を進めるのが非常に難しい業界です。したがって、自動化できそうな単純作業でも、人を配置して作業を行っている施設がまだまだ多いです。

そして、こういった施設で生産性の向上を目指す場合、「作業員を増やして生産量を高める」と言う手段になるのですが、施設内で働く従業員が増えれば、その分作業スペースが狭くなってしまいます。もちろん、狭さを感じながらも生産活動を行える作業もありますが、従業員が働きづらさを感じてしまうレベルの狭さになると、人的ミスの増加や早期退職者の増加など、さまざまなデメリットが考えられます。

従業員を増加して生産性を高めるということは、会社の売り上げも伸びているということですので、「生産性向上を目指しながら、作業効率も悪化させない」ことを考えると、工場増築、改修を検討すべきタイミングと言えるでしょう。

生産設備の更新

これも工場の生産性向上を目指して増設を検討すべきタイミングです。工場内で使用している設備についても、建物と同様に使っていれば劣化していってしまいます。したがって、どのような工場でも、いずれ生産設備を更新しなければならないタイミングがやってくると考えなければいけません。

そして、生産設備の更新時には、「今までよりも大きな機械を導入して生産性向上を目指す」と言うケースも考えられますが、生産設備の大幅な変更の場合、作業動線なども大幅に変更しなければならなくなるケースが多いです。いくら生産性向上が目指せる大きな機械を導入したとしても、それにより生産活動が効率的に行えなくなるのであれば意味がありません。

つまり、生産性向上を目指して生産設備の更新を行う際、作業動線まで変える必要があるという場合は、「最も生産活動が効率的」なレイアウトを検討する良いタイミングと言え、増築、改修に適しています。

生産システムそのものを変更する

近年、食品工場などでも増えているのが、生産設備の更新だけでなく、生産システムそのものを変更するというパターンです。上述したように、食品製造業界は、不揃いな原材料を取り扱うという特徴があることから、その他の製造業と比較してもロボットなどによる自動化が非常に難しく、製造業の中では自動化が最も遅れていると言われている業界です。

しかし近年、センサや画像認識、AI技術が飛躍的に進化してきており、食品製造業界でも生産システムの自動化、省人化が推し進められるようになっています。そして、こういった生産システム自体の大幅な更新は、工場そのものの構造を変更しなければならないケースが多く、増築、改修を検討するタイミングになります。
食品工場建設・建築に関するよくある質問はこちら

増設を成功させるために押さえておくべきポイント

それでは、実際に工場の増築、改修を決めたという場合、理想通りの工場にするために押さえておくべきポイントもご紹介しておきましょう。

生産活動に悪影響が出ないようにする

増築、改修は、「すでに設けられているものに加えて、さらに設ける、変更すること」を意味しています。

これからも分かるように、工事中も通常の生産活動を止めるわけではないので、さまざまな注意点があります。例えば、工事中はホコリやゴミが舞ったりしますので、異物混入には普段以上に注意を払わなければいけないでしょう。他にも、工事による騒音で従業員や近隣住民に迷惑をかけてしまうケースもありますので、こういった点も工事業者にしっかり配慮するように指示しておく必要があります。

さらに、製品出荷と工事用の車両出入り口を分けておいた方が良いなど、細かな注意点がたくさんありますので、食品工場など、製造施設の施工実績を豊富に持っている建設会社に依頼しなければ、工事が生産活動に悪影響を与えるリスクがあると考えてください。

本当に増築、改修で良いのか慎重に検討するべき

増築、改修は、上述の通り、既存の工場に新たな部分を追加する、変更する工事になります。もちろん、増築、改修に合わせて、既存建物部分に関しても、外壁塗装などのメンテナンスを行うのが一般的です。

ただ、いくら外壁塗装などで劣化部分のメンテナンスを行ったとしても、新たに付け加える部分と違和感が生じてしまうケースも少なくありません。せっかくお金をかけて工場のメンテナンスを行ったしても、建物の外観イメージが大幅に崩れてしまい、企業イメージを損ねてしまうリスクがあるという点は忘れないでおきましょう。

他にも、既存建物部分の劣化が進行しすぎている場合、増築、改修ではなく、建て替えを選択すべきとアドバイスされることも多いです。日本は、地震や台風、集中豪雨による水害など、さまざまな自然災害が頻発する国です。新たに増築、改修する部分は、そういった災害のことも考えて建築しますが、既存建物部分が十分な強度を持っていなければ、大規模な災害が発生した際に、まとめて崩壊してしまうケースも考えられます。工場の建て替えは、増築、改修とは比較にならないほどコストがかかってしまいますが、施設の状況によっては、「増築、改修ではなく建て替えの方が良い…」と言うケースもあるということは頭に入れておきましょう。

まとめ

今回は、食品工場が増築、改修を検討するタイミングと、実際に増築、改修を決めた時に成功させるために押さえておかなければならないポイントを解説してきました。工場の増築、改修については、「手狭になったから作業効率を改善させるため」「もっと生産量を高めたい」など、前向きな考えの元、増築、改修することを決める工場がほとんどです。さらに近年では、AIや画像認識技術の飛躍的な進化もあり、今までは難しいと言われていた食品製造業界での自動化が急速に進むようになっています。そのため、従来の生産システムを一新し、自動化や省人化を目指すため、工場の増築、改修を検討する企業が多くなっています。

食品工場の増築、改修に関しては、「工事の横で人が口にするものを作らなければならない」と言うことから、異物混入や衛生管理に関して、いつも以上に気を配らなくてはいけなくなります。そして、これは工場側が注意しておくだけでは難しいもので、工事を行う建設会社が「施設の特性をきちんと理解している」と言うことが大切だと考えてください。つまり、食品工場の増設は、こういった施設の工事に関する知識をどれだけ持っているのかと言うことが大切で、「工事を相談する建設会社選び」が成功のためには最も重要になると考えられます。

弊社は、全国の食品工場の新築、リニューアルに携わってました。その蓄積されたノウハウを駆使し、お客さまのニーズに合わせた完全オーダーメイドの食品工場を作り出します。

この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。