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投稿日:2025.06.03 

冷蔵・冷凍庫で結露・霜が発生する原因と対策方法

冷蔵・冷凍庫で結露・霜が発生する原因と対策方法
食品工場や冷蔵冷凍倉庫などでは、部屋ごとの気温差が大きいため、結露や霜が発生しやすくなります。
この記事では、結露や霜が発生する原因、そしてそれによる被害や対策方法について詳しくご紹介します。

冷蔵・冷凍庫で結露・霜が発生する原因とメカニズム

それではまず、結露のメカニズムについて簡単にご紹介しておきましょう。

結露(けつろ)とは 固体状態における物質の表面、または内部で、空気中の水蒸気が凝縮する現象のことである。
例:温度20℃・湿度50%の室内における露点温度は、9.6℃であり、壁や窓などの表面が、9.6℃以下の場所で結露が発生する。
引用:wikipedia

結露というものは、気温差が激しい冷蔵・冷凍設備だけに起こるものではありません。例えば、私たちの普段の生活の中でも、冷たいドリンクの入ったコップの外側に水滴がついたり、寒い冬場に室内側の窓ガラスに水滴がつく現象なども結露です。一般論としては、「床・壁・天井で区切られた空間同士において、それぞれの空間の温度差が大きくなった場合、高温側の空間に表面結露が発生する」とされています。
結露のメカニズムとして覚えておきたいのは、暖かく湿気を含んだ空気が室外側(または室内側)から冷やされることで、暖かい空気に含まれる湿気が凝縮し、結露(水)に代わるものだとイメージしておけば良いでしょう。そのため、湿度が高い環境であるほど結露が発生しやすい状態になります。更に、冷凍設備の場合は、結露により発生した水滴がさらに冷やされ霜や氷となります。このメカニズムから分かるように、冷蔵・冷凍設備が多用される場所において、結露を完全に防ぐことは非常に困難なことなのです。それでは、食品工場などで結露が発生した場合、どういった弊害が出るのでしょうか?

冷蔵・冷凍庫の結露・霜による弊害

一般住宅などでも、建物の劣化を速めてしまうリスクがあると言われ、大きな問題と捉えられていますが、お客様の商品を製造・保管する食品工場や冷蔵冷凍倉庫などで考えた場合、一般住宅とは比較にならないほどの弊害があるのです。

工場内の環境悪化

結露が頻繁に発生する環境の場合、カビが繁殖するリスクが高くなります。結果的にカビの胞子が生産している食品に混入すると出荷後にカビ発生という最悪な事態に繋がります。そのためカビの発生要因になる結露を抑制するためにも結露を減らす対策が必要になります。
異物混入・害虫発生の原因となる
結露や湿気はカビだけでなく、ダニが繁殖しやすい環境をつくります。特に段ボールや衣類で繁殖しやすいため注意が必要です。ダニ以外にも、ゴキブリなどの害虫も湿気を好む傾向にあります。

健康面の影響

結露は商品や建物以外に、工場で働く従業員にも悪影響を与えます。カビやダニは肺炎・アレルギーの原因になるため、健康被害に繋がる可能性があります。
衛生環境の悪化(変更なし)
結露した水が凍結し霜になり扉の開閉に悪影響を及ぼしたり、商品に霜がはりつく等の原因にもなるなど、衛生的にもよくありません。

空調・省エネ効率の低下

結露により霜が発生すると、冷気が行き渡らなくなります。その結果、工場内の温度と気温が上昇し、空調設備や省エネ効率の低下になります。
以上のように食品工場において結露は多くの弊害を引き起こすため、結露を発生させないために適切な対策を講じる必要があります。

冷蔵・冷凍庫の結露・霜の対策方法

ここでは、冷蔵・冷凍庫の結露・霜の代表的な対策方法をご紹介します。

温度・湿度の管理

温度や湿度の変化により結露が発生しやすくなるため、温度と湿度を適切に管理することが大切です。庫内を一定の温度に保ちつつ、除湿を行うことで、結露が発生しにくくなります。

空間ごとの温度差を小さくする

空間ごとの温度差が大きいと結露が発生しやすくなるため、倉庫内と外の温度差を小さく保つことが重要です。温度差を抑えることで、結露の発生を防ぐことができます。

食品の保存方法を工夫する

冷蔵・冷凍庫に物を詰めすぎると、庫内の面積が狭くなり空気の循環が悪くなります。また、詰めすぎることにより庫内の温度が上昇し、冷却器と庫内に温度差が発生します。
温度差は霜がつく原因になるため、冷凍庫内は空気が循環しやすいようにきちんと整理し保存方法を工夫することが重要です。また、調理直後の熱いものをそのまま庫内に入れると、冷却機能に負荷がかかるためご注意ください。

冷凍庫内に外気が入らないようにする

冷凍庫の開閉回数が多いと、温かい外気が入り込み、温度差により霜が発生しやすくなります。ドアの開閉は最小限にし、開放時間も短くするよう心がけましょう。また、ドアのパッキンや本体に不具合があると、わずかな隙間から外気が入り込み、同様に霜や結露の原因となります。定期的な点検とメンテナンスを行い、正常な状態を保つことが大切です。

冷凍庫の設置場所を考慮する

冷凍庫を屋外や冷暗所に設置する場合、温度差が生じやすく、霜もつきやすくなります。そのため、できるだけ湿気が少なく、温度の変化が少ない場所を選んで設置するようにしましょう。

定期的に霜取り作業を行う

霜が冷凍庫の内壁などに固く付着してしまう前に、定期的に霜取り作業を実施することが重要です。霜取り用のスクレーパーや木製ハンマーなどを使って、こまめに作業を行いましょう。

工場の結露対策は以下記事で詳しく説明しております。
【工場の結露対策】結露・霜が発生する原因と対策まとめ

工場の冷蔵・冷凍設備の結露を防ぐための5つのステップ

それでは、多くの食品関連施設で悩みの種となる、冷蔵・冷凍設備で発生する結露問題を解消するためにはどうすれば良いのでしょうか?
上述したように、結露というものは気温差や換気の際などに高温で湿度が高い外気を取り込むことが原因で発生します。冷蔵・冷凍設備となれば、外気温との差がかなり大きくなるため、何らかの作業を行う際に扉を開けただけでも、その隙間から水を含んだ暖かい空気が侵入してしまい、結露が発生してしまうのです。一般住宅の小さな冷蔵庫などであれば、付着したちょっとした露をタオルで拭き取るなどとすれば、簡単に取り除くことも可能なのですが、大きな設備となれば手作業で結露を取り除くのは現実的ではありません。したがって、食品関連施設が抱える結露問題については「発生させないためにどうすれば良いのか?」という視点で対策をたてる必要があるのです。
ファクタスでは、結露問題に頭を悩ませている方のため、徹底的な調査のもと根本的な結露対策を提案致します。基本的に以下のステップで、現状の問題点を把握し、施設に最適な結露対策をご提案しています。

  1. STEP01 冷蔵・冷凍庫の要件確認(保管)
  2. STEP02 隣室の利用方法、室内環境の確認
  3. STEP03 庫内、隣室、天井裏の室温、表面温度、湿度、風速を実測
  4. STEP04 結露条件を机上検討
  5. STEP05 要求事項に応じて最適な結露対策を提案

まとめ

冷蔵・冷凍庫における結露・霜の対策について解説しました。
結露や霜を適切に処理しないと、余計なコストが発生することがあります。上記で紹介したポイントや方法に基づいて、対策を進めていきましょう。

三和建設では結露対策を実施した工場・倉庫の建設やHACCP対応の食品工場建設の実績が多数ございます。是非ご相談ください。
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この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。