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投稿日:2022.12.10 
更新日:2023.01.10 

食品工場の清掃方法!清掃時の注意点やポイント

食品工場の清掃方法!清掃時の注意点やポイント

日々、さまざまな食品を取り扱う食品工場では、異物混入や食中毒などの食品事故を防止するため、毎日の清掃が重要とされています。

高温多湿になりがちな食品の製造現場で、日々の清掃を怠ってしまうと、カビや害虫が繁殖し、異物混入や食中毒などの事故を引き起こすリスクが高まります。食品工場での製品の不備は、企業の信用を揺るがす原因となります。

そこで当記事では、食品製造現場の清掃箇所について、いくつかのポイントをピックアップし、清掃時の注意点などをご紹介します。

食品工場清掃時の注意点やポイント

食品工場での清掃について、代表的な箇所をピックアップして清掃時の注意点や清潔に保つポイントをご紹介します。

包丁の清掃について

食品に直接触れる調理器具である包丁は、日々の清掃はもちろん、衛生管理面でもさまざまな点に注意する必要があります。例えば、肉や魚を切るのに使用する包丁を、生食用の野菜にも使用した場合、包丁を介して交差汚染が生じるリスクがあります。したがって、食品工場で使用する包丁については、食材ごとに用意し、間違った使用が起きないよう、分かりやすい位置に目印をつけておくなどの対策が重要です。その他、食品工場で使用する包丁は、柄が木製のものは原則使用してはいけません。木製のものは、経年劣化で柄の部分が欠けて、食品に混入する恐れがあります。また、包丁に生じるサビや刃こぼれなども、食品事故を引き起こしますので、使用前・使用後は包丁に異常が生じていないかきちんと確認するルールを設けましょう。

包丁の清掃方法については、以下の手順で行いましょう。

  1. 包丁を温水で下洗いし、中性洗剤で丁寧に洗う。柄の付け根に汚れが蓄積しやすいため、柄の部分は念入りに洗う。
  2. 流水で洗剤が十分に落ちるまでよくすすぐ。
  3. 清潔な場所で乾燥させる。(清潔なダスターで水気を拭き取る。)
  4. 乾燥したら、全体にアルコール製剤を噴霧する。
  5. 清潔な棚などで保管する。

なお、清掃後の包丁を保管する際は、跳ねた水などが当たり、汚染されることが無い安全な場所に保管してください。また、包丁を使用する直前にもアルコール消毒を行いましょう。

 

関連記事:食品工場の衛生管理!交差汚染による食中毒を防ぐには?

まな板の清掃について

まな板も食材に直接触れる調理器具ですので、日々の清掃が大切です。包丁と同じく、調理する原材料や調理工程ごとに、専用のまな板を用意しておかなければ、交差汚染の危険があるため、用途別にまな板を用意しましょう。なお、従業員が「どの工程(食材)なら、どのまな板を使用すれば良いのか?」を一目で判断できるように、色分けをしておくことがおすすめです。その他の注意点としては、木製のまな板は使用しない、まな板に目に見える劣化がある場合はすぐに交換するなどに気をつけましょう。

まな板の清掃方法は、以下の手順で行いましょう。

  1. 温水で下洗いし、中性洗剤で丁寧に洗う。
  2. 流水で洗剤が十分に落ちるまでよくすすぐ。
  3. 殺菌処理を行う。(塩素系漂白剤に浸漬や熱湯や煮沸などで加熱殺菌)
  4. 清潔な場所で乾燥させる。(清潔なダスター水気を拭き取る。)
  5. 清潔な棚などで保管する。

食品工場では、頻繁にまな板を使用する作業があると思います。安心・安全な食品の提供を行うためには、使用の度にきちんと洗浄するようにしましょう。具体的には、上で紹介した流れの「①⇒②⇒④」の工程で洗浄し、アルコール製剤で消毒してください。

まな板の保管場所も、跳ねた水で汚染される心配がない場所に設置してください。

床の清掃について

HACCPが義務化された現在では、食品工場建設時に、「できるだけ清掃がしやすい床」の実現が大切とされています。食品工場では、水を使用する機会が多く、食品残渣などのゴミも多く生じるため適切な清掃を行う必要があります。関連記事:工場内を清潔に保つためには『清掃しやすい工場』を造ることが大切!

このようなことから、食品工場の床は、材質や排水のための勾配など、日々の清掃が容易になるような構造にすることが大切です。また、床の経年劣化を放置すると、凹凸が生じて転倒事故が起きたり、汚れだまりができてカビ・害虫の繁殖を招いたりするので、適切なタイミングでメンテナンスも必要です。

食品工場の床の清掃方法は、以下のような手順で行うと良いでしょう。

  1. 目に見える部分のゴミを取り除く。
  2. 床に中性洗剤をまき、デッキブラシなどで擦り洗いをする。(油汚れは油汚れ用洗剤を使用します)
  3. 流水で洗剤を流す。
  4. 適度に希釈した塩素系漂白剤を床にまき、床全体に満遍なく広げる。その状態で10分放置する。
  5. 流水ですすぐ。
  6. 床を乾燥させる。スクイジーなどで水気を切ると乾燥が早くなります。

う食品工場の清掃は、『洗浄』と『除菌』を適切に行うことが大切です。上で紹介した清掃方法でも、まずは中性洗剤などで汚れを『洗浄』し、その後に『除菌』するという工程になっています。これは、洗浄しただけでは、人間の目では確認できない食中毒菌が残ってしまう可能性があるため、汚れを落とした後に、除菌を行うという流れになっています。なお、「後から除菌するから洗浄はほどほどで良い」ということは無く、汚れが多く残った状態だと、除菌の効果が薄れ洗浄も除菌も中途半端という最悪の状態になってしまいます。

排水口の清掃について

最後に、排水溝の清掃方法についてご紹介します。排水溝は、食品残渣などが溜まる場所でもあるため、入念に清掃を行う必要があります。生ごみなどが残った状態で放置してしまうと、害虫発生の原因となります。なお、この部分も、建設時にできるだけ清掃がしやすくなるよう工夫しておく事がおすすめです。

排水溝の清掃は、以下の手順で行いましょう。

  1. 目に見える部分のゴミを取り除く。
  2. 排水口に中性洗剤を巻き、デッキブラシでよく擦り洗いする。排水溝の蓋も洗剤を使って両面を良く洗います。(油汚れがひどい場合、油汚れ用洗剤を使用します)
  3. 流水で洗剤を流す。
  4. 適度に希釈した塩素系漂白剤を排水溝と蓋にまき、全体に満遍なく広げる。その状態で10分放置する。
  5. 流水ですすぐ。

排水溝の清掃方法は、基本的に床と同じような流れになります。なお、排水桝などに生ごみが残った状態で塩素系漂白剤をまくと、塩素ガスが出る危険があります。生ごみなどは、最初に取り除いておきましょう。

まとめ

今回は、食品工場の清掃について、正しい手順や注意点を解説しました。現在、食品工場に勤めている方であれば、当たり前の事と感じたかもしれませんが、日々の清掃は、良い意味でも悪い意味でもルーティーン化するもので、日々の清掃に慣れてしまうことで作業が大雑把になってしまうケースが少なくありません。食品工場は、ほんの小さな汚れが残ることで、カビや害虫が発生し、それが食品事故につながるリスクがある施設です。したがって、日々の清掃の大切さを思い出すきっかけになれば幸いです。

この記事でご紹介した以外のポイントや食品工場に関わるお役立ち情報については、食品関連お役立ち情報一覧でご覧いただけます。

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。