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投稿日:2023.01.10 

食品工場内での正しい服装と注意したいポイント

どのような業種でも、その業界ごとに「身だしなみ」や「服装」の基準が存在します。例えば、企業の営業担当者であれば、企業イメージを壊さない清潔感が求められますが、アパレルや美容師などの業界では人の目を引くような「オシャレさ」が求められます。

それでは、食品工場などの食品関連事業者にとっての「正しい服装」とはどのようなものなのでしょうか。当記事では、食品工場で求められる「服装」がどのようなものか、また注意しなければならないポイントがどのような点かについて解説します。

食品工場で求められる服装

食品工場では、何よりも「作業者と製品を守る」ことが重要で、服装についても衛生面を最優先に考えられています。衛生管理を怠ってしまうと、異物混入など食品事故につながる恐れがあるため、服装に対しても従業員全員が細心の注意を払う必要があります。

それでは、実際に食品工場における従業員の正しい服装について、選定や着用のポイントをご紹介します。

帽子

食品工場で作業員が着用する帽子は、体毛の中で最も量が多く、落下しやすい頭髪を覆うためのものです。製品への頭髪の混入を防ぐためには、適切なサイズの帽子を正しく着用することが大切です。

食品工場などで採用される衛生帽子にもいくつか種類がありますが、帽子の選定ポイントとしては「作業者ごとに最適なサイズの帽子を選ぶ」ことが重要です。帽子のサイズが大きすぎると隙間が生じ、そこから頭髪が落下する可能性があります。逆に、サイズが小さすぎると、隙間は生じないが、頭部が締め付けられることを不快に思い、作業中に帽子を調整しようと、頭部を触る機会が増え、衛生度が下がる恐れがあります。

帽子着用のポイントとして、「毛髪が帽子からはみ出さないようにする」ことが最も大切です。髪の毛が長い人は、帽子をかぶる前に髪の毛をまとめ、ヘアネットなどを着用するように指示されていることがほとんどです。そして、帽子着用後は、鏡で髪の毛がはみ出していないかをしっかりと目視確認し作業に従事させます。

なお、眼鏡やマスクを着用する場合、通常の衛生帽子であれば、マスク紐やメガネのつるで隙間が生じます。衛生帽子の中には、このような小さな隙間に対応した製品もありオススメです。


画像出典:ユニフォームタウン

マスク

食品工場では、唾・鼻水・鼻毛などが製品に落ちないようにする、手で鼻や口に触れることを防ぐ目的として、マスクを着用します。マスクの着用時は、顔とマスクに隙間が生じないように着用するのがポイントです。また、マスクは、鼻から顎の下までをしっかりと覆うように着用します。マスク紐は、耳にかけると帽子に隙間ができてしまうので、上で紹介したようなマスク掛けがついている帽子を採用し、マスク掛けを利用するように指示しましょう。

マスク選定のポイントとしては、マスク着用の目的をしっかり理解しておくことが大切です。食品工場で使用するマスクは、あくまでも飛沫を防ぐ、体毛が落ちるのを防ぐことが目的ですので、防塵性はそれほど重視しなくても構いません。また、従業員によっては眼鏡を着用する方がいると思いますので、このような方には眼鏡がくもりにくい加工がされている物を用意しましょう。この他にも、蒸れにくいマスクなどが登場していますので、長時間着用しても従業員の負担にならないように工夫すると良いでしょう。

作業着

作業着は、体毛の落下防止や、肌が直接食品に接触することを防ぐことが目的ですので、長袖・長ズボンが基本です。なお、袖口に隙間などが生じると、そこから体毛が落下する恐れがあるため、隙間が生じないように着用することが大切です。

作業着の選定ポイントとしては、自社の作業状況などに合わせて導入する作業着を決めます。例えば、作業着は薄いものと厚いものがあるのですが、薄いものは耐久性が低い、厚いものは耐久性があるが重いなど、長所と短所があります。作業効率を考え、自社の作業状況に合わせて選ぶことが大切です。

作業靴

作業靴は、直接床に触れるため、従業員の服装の中でも最も汚染されやすい部分です。付着する汚れについても、油や食品残渣など雑菌の繁殖を招いてしまう汚れが多いため、日々の作業後に丁寧に洗浄し、清潔に保つことが大切です。例えば、作業後には必ず靴全体を洗浄し、靴の裏が見えるように「底見せラック」に作業靴を片付けるなど徹底するのもひとつです。


画像出典:底見せ長靴ラックより

作業靴は、短靴と長靴など、いくつかの種類があります。短靴は、靴の中に水が入りやすいので、食品工場などには適していないと考える方が多いです。ただ、短靴の場合、水が入らないように慎重に作業を行うようになることから、長靴よりも衛生意識が高まる傾向にあると言われています。作業靴を選定する際には、こういったこともよく考えて選ぶのがオススメです。なお、靴底に関しては、食品残渣が詰まりにくい、油や粉の上でも滑りにくいなど、従業員が安全に作業でき、洗浄しやすいものを選びましょう。

食品工場の服装に関する注意点

それでは次に、高度な衛生管理体制が求められる食品工場などにおける、服装に関する注意点をご紹介します。人が口にする食品を取り扱う現場では、食中毒や異物混入などの食品事故を発生させないため、常に清潔な状態をキープする必要があります。

食品工場の中には、作業中に着用する作業着を個人で管理すると決められているケースもあると思います。しかし、この場合、個人によって清潔度にムラが生じやすくなるため、個人で管理にするにしても「作業着は必ず毎日洗濯する(洗濯が間に合うような枚数を支給)」「作業着は他のものと一緒に洗わない」などのルールを設け、徹底させるようにしましょう。なお、リネンサプライ業者と契約し、作業着をレンタルするようにすれば、工場内の清潔度が担保しやすくなります。

その他にも以下のような点に注意すると良いでしょう。

 

関連記事:食品工場における異物混入の原因とは?

区画(汚染区、準清潔区、清潔区)ごとに服装を分ける

食品を取り扱う施設では、同じ施設内であっても、「汚染区・準清潔区・清潔区」などの区分けが行われており、区分けごとに確保しなければならない清潔度が異なります。

食品工場では、決められた区分けごとで清潔度を保つことが重要ですが、汚染度が高い場所から低い場所に直接移動できてしまうと、さまざまな問題が生じるリスクがあります。「汚染区⇒準清潔区」「準清潔区⇒清潔区」のように、汚染度が高い場所から低い場所への移動が行われた場合、菌やゴミなどの汚染物質が持ち込まれ、清潔な場所が汚染される可能性があります。

したがって、このような移動が施設内で起きないよう、各区域ごとに服装を分けるのが一般的です。例えば、帽子の色を「汚染区=赤」「準清潔区=黄」「清潔区=青」にすれば、間違った移動が起きた時にすぐに気づくことができます。

区分けについて以下の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:ゾーニングとは?食品工場におけるゾーニングの意味と重要性について解説

機能性・快適性のことも考える

ここまでの解説の通り、衛生管理を重視しなければならないのは当然ですが、着用する従業員が「作業しやすい」と感じるような、機能性や快適性という観点も大切です。

機能性や快適性を無視して服装を決めてしまうと、熱気がこもり、作業中に熱中症を引き起こすなど、従業員の健康を損なうような問題に発展しかねません。また、機能性・快適性が低い服装で作業させた場合、就業環境に不満を感じる従業員が増え、その結果、早期退職者が増加したり、施設の衛生管理に協力してもらえないなど、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

機能性・快適性も重視して服装を選べば、高い清潔度を保てるだけでなく、働きやすい環境が整い、生産性向上や集中して作業することができることから、人的ミスの減少などのメリットが得られます。

まとめ

今回は、食品工場の「正しい服装」について解説しました。この記事でご紹介したように、人が口にする食品を取り扱う食品工場では、衛生管理体制が非常に重要とされており、作業に従事する際の服装にも細心の注意が払われています。

例えば、髪の毛は、一日に50〜100本は自然に抜け落ちると言われており、これが食品工場での作業中に抜けると異物混入事故につながり、会社の信用を失ってしまう事態に発展しかねません。したがって、食品工場などでは、製品に体毛が落ちないようにするため、可能な限り肌の露出がなくなるような服装が求められています。

ただ、衛生面ばかりを求めてしまい、機能性や快適性に難がある服装になると、従業員が働きにくさを感じて作業効率が落ちる、熱がこもって熱中症で倒れてしまうなどの問題を引き起こすリスクが生じます。食品工場の「正しい服装」は、施設ごとに異なるため、自社にとって最適な服装がどのようなものか、この記事を参考に改めて考える機会になれば幸いです。

食品工場に関わるお役立ち情報については、食品関連お役立ち情報一覧でご覧いただけます。

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。