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食品

投稿日:2020.03.18 
更新日:2022.09.26 

食品工場で働く従業員の心構え

食品工場では安全な食品を製造するために、徹底した衛生管理がとても重要です。最新の設備や構造を取り入れて建設された食品工場でも、実際に働く「従業員」が衛生管理の基準を理解し、実施の徹底をしなければ異物混入や、菌の繁殖による食中毒の可能性は払拭できません。
この記事では、食品工場で働いている、または働こうと考えている方に、安全な商品を製造するために必要な「従業員の心構え」を紹介します。

■衛生管理の基本『5S』

食品の製造・加工を行う現場では、衛生管理の基本として『5S活動』というものがあります。これは「整理(Seiri)」・「整頓(Seiton)」・「清掃(Seiso)」・「清潔(Seiketsu)」・「躾(Sitsuke)」の頭文字全てが『S』になることから名づけられたものです。食品工場以外でも様々な企業でこの活動は取り入れられているため、見かけたことがある方や実践している方もいらっしゃるでしょう。

 

・整理(Seiri)

必要なものと不要なものを区別する。必要なものは保管、不要なものは処分すること。

 

・整頓(Seiton)

必要なものを必要な時に使用できるよう決められた場所で管理すること。

 

・清掃(Seiso)

ゴミ・汚れ・異物を取り除き、きれいな状態にすること。また、その過程で細部の点検も行う。

 

・清潔(Seiketsu)

「整理・整頓・清掃」を徹底して、その状態を維持すること。

 

・躾(Sitsuke)

「整理・整頓・清掃・清潔」のルールを決め、従業員にその知識とルールを守ることを習慣づけること。

 

食品工場では食品の衛生を保つだけではなく、加工の際に使用する機器や、刃物などで従事者に危険が及ばないためにもこれらを徹底する必要があります。

このように、建築や設備で衛生対策を整備しても、日々、加工室を利用する「人」の意識を高めなければなりません

 

■衛生管理の基本『3原則』

 

上述した5S活動とは別に、食品工場で最も重要なことは衛生における管理です。

管理徹底のために『衛生管理の基本3原則』と呼ばれる、『持ち込まない』、『発生させない』、『排除する』の3点があげられます。この3点は製造者が入室する際に必ず目に付くところに貼り出しましょう。ここでは、従業員が守ることで細菌や異物の発生を防ぐための基本を紹介します。

 

■『持ち込まない』

 

一つ目の『持ち込まない』とは、細菌や害虫などの異物の持ち込みを指します。

異物は入室者の作業服や作業靴に付着していることが多いため、エアシャワーの導入や、鏡の前で目視確認をしながら粘着ローラーを使用し、取り払う方法が効果的です。素晴らしい事例としては、交代制で粘着ローラー担当を設け、背面や頭上など自身では目視確認しにくい部位を目視で確認し取り払うことで異物混入を激減させた実例があります。

 

■『発生させない』

 

二つ目の『発生させない』とは細菌や微生物を発生させないことを指します。

ポイントは温度管理の徹底です。無菌室のような高度な設備でない限り、取り扱う食品に適した温度や湿度を保っていなければ、細菌が発生してしまいます。そのため、温度管理担当などを設け定期的に目視で確認することが望ましいでしょう。

また、異物を加工室で落としてしまうことでその異物から細菌が発生することもあり得ます。

異物の落下を防ぐためにマスクや帽子を着用し髪の毛などの異物が落ちないようします。

併せて入室前の手洗いの徹底だけではなく、清潔なゴム手袋の着用も徹底しましょう。

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■『排除する』

 

最後の『排除する』とは、異物や雑菌を取り除くことを意味します。

作業室内には必要な物しかおかないようにし、使用が終われば早く室外に片付けます。

また、加熱調理をして販売する食品に関しては十分な加熱を行い、使用機材は洗浄消毒し細菌を排除します。食肉の加工の際は、肉塊1つの加工が済むたびに、使用した器具の洗浄・消毒を行うことが理想的です。

 

■加工室入室の流れ

 

実際に食品工場の加工室へ入室する際は、その手順をすべての従業員が理解できるように、わかりやすく、覚えやすく表記することが重要です。

例えば、分かりやすく覚えやすい工夫として、イラストや写真を使って解説することも有効です。

特に禁止事項や注意点を伝える際は、わかりやすい言葉にすることが非常に重要です。また、外国人労働者が多く従事する食品工場も珍しくないため、誰が見聞きしても同じ行動ができるようにしなければ、個々の解釈によって入室時の行動が異なり、不備が生じる可能性があります。

 

入室前に最も気を付けたいところは、下痢や嘔吐といった症状はないか、風邪などによる咳や鼻水など分泌物が出る症状がないかを確認することです。それらの症状がある場合、その従業員はもちろん入室禁止です。体調を整えるためにも、休みを取り医療機関の診察を受けるのが望ましいでしょう。これらは個々の判断にゆだねるだけではなく、共に働く従業員同士がお互いの体調を確認しあえる環境が理想的です。

続いて、作業服に着替えるにあたり、清潔な作業着を正しく着用できているか、帽子やマスク、手袋の着用できているかをチェックします。

その後、洗剤による手洗い、ペーパータオルもしくはジェットタオルによる乾燥、最後にアルコール殺菌を行います。洗剤・ペーパータオル・アルコールは切らさないよう、補充の運用方法も決めておくとスムーズです。

これらは従事する工場のルールに従いましょう。

 

■まとめ

食品工場で安全な食品を製造するために従業員が持つべき心得について紹介しました。従事する食品工場によって、規則や手順は異なりますが、ここで紹介した基準については覚えておいて損はないでしょう。食品だけでなく、従業員の安全を守るための心得でもあるため、しっかり守り、安全で快適な業務に役立ててください。

 

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この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。