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投稿日:2022.09.20 
更新日:2022.11.22 

食品工場に必須の食品衛生責任者と食品衛生管理者の違いを解説

日本国内では、食品衛生法によって、食品の調理、製造、販売などに関わる施設には「食品衛生管理者」や「食品衛生責任者」を配置しなければならないと定められています。

ただ、この食品衛生管理者と食品衛生責任者は、名称が非常に似ていることから、食品を取り扱う施設で働いている方でも混同してしまっている人が多いです。実は、食品衛生管理者と食品衛生責任者は、資格要件や配置しなければならない場所、職務内容など、さまざまな面で異なる全く別の資格です。
そこで今回は、この2つの資格の違いや資格要件などについて解説していきたいと思います。
 

食品衛生管理者と食品衛生責任者の上位資格

日本では、食品衛生法によって食品に使用しても良い添加物や包装容器、成分表の提示方法などが定められています。そして、食品衛生管理者と食品衛生責任者の選任に関してもこの法律で定められています。

この二つの資格については、非常に名称が似ているのですが、以下のような区分となっています。

  • 食品衛生管理者 製造や加工などの過程において、特に衛生上の考慮を必要とする食品を製造する工場で選任する必要がある資格です。国家資格を取得する必要があります。
  • 食品衛生責任者 食品衛生責任者は、街中にある飲食店を含め、何らかの食品を取り扱うほとんどの施設に必要となる資格です。一部を除いて、都道府県知事などが実施する食品衛生責任者養成講習会を受講する必要があります。

これからも分かるように、食品衛生管理者は、食品衛生責任者より上位に位置付けられる資格で、食品衛生管理者は食品衛生責任者の役割も担うことができます。ただし、その逆に食品衛生責任者が食品衛生管理者の役目を果たすことはできません。

日本国内に存在する飲食店や食品の加工・製造を行う食品工場などは、食品衛生法に沿って営業しなければならず、違反した場合は厳しい罰則が科されます。したがって、この二つの資格の内容はしっかりと押さえておかなければなりません。

食品衛生責任者の役割と資格要件

食品衛生責任者は、食品衛生責任者養成講習を受講した方、かつ食品衛生責任者に選任された方を指します。食品衛生責任者の役割は、食品を取り扱う施設での、食品衛生上の管理・運営と法令の遵守となります。 食品衛生法では、食品衛生管理者を選任する必要が無い施設でも、飲食店や食品の販売店、食品製造施設など、食品を取り扱う施設であれば、「施設一つにつき必ず一人選任する必要がある」と定めています。近年では、チェーン展開されている飲食店なども多いですが、この場合、一人の有資格者が複数店舗を兼任することはできず、お店ごとに選任しなければいけません。また、コンビニやスーパーなどであっても、食品の製造販売を行っている場合は、食品衛生責任者の選任が必要です。 ※食品衛生責任者は、基本的に食品衛生責任者養成講習を受講する必要がありますが、栄養士や調理士、畜場法に規定する衛生管理責任者などの資格保有者の場合、講習を受けなくても構いません。

食品衛生責任者を設置しなくてよい場合

平成30年6月13日に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、令和3年6月から原則として、許可や届出対象となる全ての施設に食品衛生責任者を設置しなければならなくなりました。ただし、「公衆衛生に与える影響が少ない営業」に規定されている以下の業を営む場合は、食品衛生責任者を設置する必要が無いとされています。

  1. 食品又は添加物の輸入業
  2. 食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、冷凍・冷蔵倉庫業を除く)
  3. 常温で長期間保存しても食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業
  4. 器具容器包装の製造業
  5. 器具容器包装の輸入又は販売業

上記の他、学校・病院など、営業以外の給食施設のうち、1回の提供食数が20食程度未満の施設、農家・漁業者などが行う採取の一部とみなせる行為(出荷前の調整など)についても、営業の届出が不要ですので、食品衛生責任者の選任は不要とされています。

参照:神奈川県HPより

食品衛生責任者の資格要件について

食品衛生責任者になるためには、以下のいずれかの要件に該当しなければいけません。

  • 食品衛生監視員・食品衛生管理者の資格要件を満たす者や衛生関係法規に基づく資格を有する者(栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士)
  • 都道府県知事等が実施する食品衛生責任者養成講習会の受講修了者

なお、食品衛生責任者の講習は「公衆衛生学(伝染病、疾病予防、環境衛生、労働衛生等):1時間」「衛生法規(食品衛生法、施設基準、管理運営基準、規格基準、公衆衛生法規等):2時間」「食品衛生学(食品事故、食品の取扱い、施設の衛生管理、自主管理等):3時間」の計6時間となります。

参考資料:厚生労働省資料より

食品衛生管理者の役割と資格要件

食品衛生管理者は、製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品又は添加物であって、食品衛生法施行令で定めるものの製造又は加工を行う営業者は、その製造又は加工を衛生的に管理させるため、その施設ごとに、専任の食品衛生管理者を置かなければならないと、食品衛生法第48条の規定により以下のように定められています。

引用:厚生労働省サイトより

なお、食品衛生法第48条第8項の規定により、営業者は、食品衛生管理者の設置または変更した場合には、15日以内に都道府県知事(保健所)に届け出をする必要があります。

食品衛生管理者の配置義務がある施設とは

食品衛生法第48条で示される「特に衛生上の考慮を必要とする食品又は添加物」は、食品衛生法施行令第13条により以下のように定められています。

  • 全粉乳(その容量が1,400グラム以下である缶に収められるものに限る)
  • 加糖粉乳
  • 調製粉乳
  • 食肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコンその他これらに類するものをいう)
  • 魚肉ハム
  • 魚肉ソーセージ
  • 放射線照射食品
  • 食用油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)
  • マーガリン
  • ショートニング
  • 添加物(食品衛生法第13条第1項の規定により規格が定められたものに限る)

参照:e-Gov|食品衛生法
参照:e-Gov|食品衛生法施行令
 

食品衛生管理者の資格要件について

食品衛生管理者は、食品衛生法第48条第6項に基づき、以下のいずれかに該当する者でなければいけません。

  1. 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
  2. 学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
  3. 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
  4. 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者

なお、上記の内、④により食品衛生管理者になるための要件を満たした人については、衛生管理の業務に3年以上従事した製造業または加工業と同種の業種の施設においてのみ食品衛生管理者となれます。

まとめ

今回は、食品衛生管理者と食品衛生責任者の違いを理解していただくため、それぞれの資格の役割や選任されるために必要になる資格要件などをご紹介しました。

食品衛生管理者と食品衛生責任者は、名称が似ていることから、混同してしまっている方が多いのですが、この記事でご紹介したように、全く異なる資格と考えてください。食品衛生責任者は、主に飲食店などで必要とされる資格で、短時間の講習を受ければ基本的に誰でも資格を得ることができます。しかし、食品衛生管理者は、国家資格となりますので、非常に厳しい資格要件が求められます。

なお、どちらの資格も、食の安全を守るためのものなので、食品関連の仕事についている方は基礎知識としてご利用ください。

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この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。