食品
投稿日:2024.04.10
更新日:2024.04.30
現在、さまざまな業界で年々深刻化する人手不足を解消するために、外国人労働者の受け入れが急速に進んでいます。これは食品工場を始めとした食品産業も同様です。
農林水産省が作成した「食品産業における労働力確保について」によると、令和4年10月末時点において、全産業の外国人労働者の数は約182万人であり、その内、食品製造業で働く外国人は約15万人(約8%)、外食業の外国人労働者は約19万人(約10%)となり、食品産業で働く外国人は外国人労働者全体の約2割を占めています。
また、令和3年同時期と比較すると、食品製造業で働く外国人は約1万人増加しており、日本の食品製造業界では、外国人労働者の受け入れが活発になっているのがわかります。
当記事では、日本の食品工場で外国人労働者が増加している理由や受け入れることで得られるメリット、また外国人雇用を強化するための準備などについて解説します。
参照:農林水産省「食品産業における労働力確保について」
Contents
ここでは、食品工場などで外国人の積極採用が進んでいる代表的な理由をご紹介します。
画像引用:農林水産省「食品産業における労働力確保について」
日本では、少子高齢化の影響により労働人口の減少が深刻化しています。上の図は、農林水産省が公表した資料の中にまとめられていたものですが、日本の労働力人口は2040年までに525万人減少し、60歳以上の割合が約30%まで上昇するという予測が出ています。
今後、日本人の労働力人口が減少し、さらなる高齢化が進むと予想されていることから、不足する労働力を補うため、外国人労働者の受け入れが急速に進んでいます。
食品工場で外国人労働者の受け入れが進んでいる理由の一つに、日本人労働者から労働環境に対するネガティブなイメージが根強いことがあります。例えば、食品工場の仕事と聞くと、以下のようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
食品工場の労働環境は、上記のようなネガティブなイメージを持っている日本人労働者が多く敬遠される傾向にあるため、日常的に人手不足が続いているケースも珍しくありません。外国人労働者の受け入れは、日本人労働者だけでは補えない労働力を確保するという理由があります。
日本国内で外国人労働者が増加しているのは、特定技能の創設が大きく関係しています。在留資格の「特定技能」は2019年4月に創設されたもので、「外国人労働者受け入れ拡大」が目的とされています。
日本は、人材の確保が困難な一部の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を労働者として受け入れる新たな在留資格「特定技能」を2019年4月から創設しました。
引用:外務省webサイトより
特定技能外国人の受入れについては、12の特定産業分野が決められており、分野によって従事できる職種が決まっています。食品工場などの食品製造業は、「飲食料品製造業」という分野に該当し、特定技能の創設の恩恵を受け、外国人労働者が増加しています。
外国人労働者の受け入れにはさまざまなメリットがあり、そのメリットから受け入れ側である日本企業のニーズが高まっています。しかし、日本人とは異なる文化を持つ外国人の受け入れには、いくつかの注意点もあります。
外国人労働者の受け入れは、以下のようなメリットがあり、食品工場でも積極的に外国人の採用に動く企業が増加しています。
外国人労働者の受け入れは、メリットだけではなく、いくつかの注意点があります。
外国人労働者は、日本人とは文化、習慣、宗教観などが全く異なります。したがって、これから外国人労働者の受け入れを積極的に行っていきたいと考えている企業は、既存の日本人従業者とのトラブルを防ぐためにも、事前に職場環境の改善を行っておく必要があります。
ここでは、代表的な改善ポイントをご紹介します。
このように、外国人労働者を受け入れる場合、さまざまな面で配慮が必要になります。イスラム教徒などは、1カ月にわたり断食を行う「断食月」があるなど、日本人労働者と同じように働くことができない場合もあるため、このような文化の違いを従業員全体に周知することも大切です。
以下の資料には、外国人労働者の受け入れに伴い、実際に企業が行った取り組みがまとめられています。
さまざまな業界で人手不足を解消するために、外国人労働者の受け入れが急速に進んでいます。食品工場を始めとした食品産業においても同様です。日本国内で外国人労働者が増加しているのは、特定技能の創設が大きく関係しています。
外国人労働者受け入れの最大のメリットは人手不足の解消ですが、そのほかにも、日本で高度な技術を身に着けたい人や、母国で暮らす家族を支える為に日本に働きに来ている人など、就労意識が高い人材を確保できることも挙げられます。
また、助成金なども用意されているため、日本人をターゲットとした通年採用の広告コストなどを考えると、採用コストを抑えることも可能です。
注意点は、文化や宗教、価値観の違いなどを理解し、配慮する必要があることです。
食品工場で外国人労働者に気持ちよく働いてもらうために、宗教的背景に配慮した食事の提供や、礼拝への配慮として礼拝室やウドゥ用のシャワー室を用意することなどを検討しましょう。また、日本語の理解度も異なるため、専門用語や作業内容が分かりやすく伝わるような研修用の動画を用意するなどの工夫も必要です。
食品工場建設を専門に提供するFACTASでは、外国人雇用強化における改修も得意としております。食品工場に必要な衛星レベルは担保しつつ、人種を問わず快適に仕事ができる増改築工事をご検討の方は、食品工場建設・改修の実績豊富なFACTASへご相談ください。
この記事を書いた人
安藤 知広
FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長
1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。