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投稿日:2021.09.11 
更新日:2022.09.26 

FSSC 22000とは?HACCPと何が違うの?

今回は、『FSSC22000』が一体どういったものなのかについて簡単に解説します。FSSC22000については、食品に関わる事業に携わっている方であれば、何度か耳にしたことがあると思います。しかし、よく似た英数字の規格がたくさん登場していることから、どれが何を意味するのかいまいち分からなくなってきた…という方も多いのではないでしょうか。

FSSC22000については、食品の安全を推進する「GFSI(国際食品安全イニシアチブ)」に承認された食品安全規格なので、簡単に説明する時には「ISO22000をさらに強化して、より確実な食品安全の実現を目指すための内容」などと言われます。ただし、これを聞いても、具体的にどのような位置付けの食品安全規格なのか、イメージしづらいことでしょう。

さらにここ数年は、食品安全を目指す手法として「HACCPに沿った衛生管理」が注目されていることもあり、結局のところ、食の安全指針は何に注力すべきなのかが分かりづらい状況になっています。そこでこの記事では、FSSC22000の概要やHACCPとの違いについて簡単にご紹介します。

関連:HACCPの基礎知識はコチラをご参照ください

 

FSSC22000の概要

それではまず、『FSSC22000』の概要について簡単に解説します。FSSC22000は、「ISO 22000をベースに、より確実な食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格」とされています。
この規格の特徴は、ISO22000をベースに、ISO/TS22002(前提条件プログラム)及びFSSC独自の追加要求事項が加えられ、予期せぬ食品事故などもカバーし、より確実な食品安全の実現を目指すものだという点です。FSSC22000は、食品安全を推進するGFSIが承認した認証スキームの1つになっており、現在では、GFSIに参加している大手の食品関連企業を始めとして、それ以外でも取得の動きが広がりつつあると言われています。今後も、GFSI承認規格として、世界中の食品関連企業に支持が広がると予想されています。

 

The Global Food Safety Initiative(GFSI)とは

世界的に展開する食品企業が集まり、食品安全の向上と消費者の信頼強化のため、協働して食品安全管理の承認等を行う民間団体です。
参考:農林水産省より

 

FSSC22000はあくまでも食品安全の規格

食品に関する規格となると、食品の品質にも関わるものなのかと感じる方がいるかもしれませんが、FSSC22000は、あくまでも食品安全に特化した規格というのが特徴です。なお、品質も目指したいという場合は、「FSSC22000-Quality認証」や「SQF認証」という認証スキームも存在します。これらの品質に関わる規格は、FSSC22000に「ISO9001 (品質マネジメントシステム)」の要求事項も参考にして構築するものとなっています。
ただし、現状はFSSC22000-Quality認証やSQF認証の取得を目指すのではなく、FSSC22000とISO9001の統合マネジメントシステムの認証取得が一般的となっています。

 

FSSC22000、ISO22000、HACCPの関係

ここまでの説明で、FSSC22000の目的に関してはある程度分かっていただけたことでしょう。それでは、この規格とISO22000やHACCPはどのような関係性になっているのでしょうか?ここでは、一般社団法人日本品質保証機構のイラストが分かりやすいため、ご紹介します。


引用:一般社団法人日本品質保証機構より

上述しているように、FSSC22000は、ISO22000、ISO/TS22002(前提条件プログラム)、さらにFSSC独自の追加要求事項の3つで構成されています。規格の成り立ちとしては、食品安全を担保するためのHACCPシステムを含めた食品安全マネジメントシステム(ISO22000)をベースとし、ISO22000だけではやや曖昧な衛生管理についてISO/TS22002(前提条件プログラム)で具体化、さらにそこにGFSIからの要求を含めた独自の要求事項が追加されています。

追加要求事項については、以下の資料を参考にしていただければと思いますが、FSSC22000は、ISO22000では考慮されていない、悪意を持つものによる人為的な食品事故を防ぐための要求事項などが追加されていますので、食品の安全をより確実に実現することができるようになっていると言われています。

参考資料:FSSC22000の「追加要求事項」について

バージョンアップが多い

FSSC22000は、ISO22000を包括する内容となっていますので、ISOに変更があれば随時内容が変わっていきます。つまり、FSSC22000は、バージョンアップの頻度が高いということも特徴の1つです(GFSI承認スキーム全てに言えます)。これは、世の中で注目されるような大きな食品事故が発生した場合、その対策のために新たな要求事項が随時追加されるためです。
ISO規格に関しては、10年単位で規格の改定が行われるものですが、FSSC22000は1年や2年と言った短いスパンでバージョンアップされていきます。もちろん、規格の根本部分から変わるような変更はあまりないのですが、それでもバージョンアップの度に自社での対応を毎回確認しなければならないと考えましょう。

 

HACCPとの違い

最後に、日本国内でもよく耳にするようになってきたHACCPとの違いについて簡単に解説します。上で紹介した図を見ればわかりますが、FSSC22000はHACCPも包括している規格ですので、密接な関係があるものと考えられます。

そもそもHACCPというものは、あくまでも食品安全のための「衛生管理手法の1つ」という立場です。一方、FSSC22000は、食品安全規格という立場であり、根本的に異なる物と考え、この2つに関しては、HACCPはあくまでも方法論であり、FSSCはISO22000をベースとしたマネジメントシステムであると考えましょう。

なお、さまざまある食品規格ごとの違いについては、以前、弊社が運営しているFact ism内でご紹介していますの、ぜひそちらもご参照ください。

関連情報:Fact ism「HACCPとFSSC22000の違いってなんだ?

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この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。