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食品企業のハラル対応について

最近、「ハラル」という言葉を耳にすることが多くなった。例えば、国内外でハラル認証を取得する食品メーカーの事例や、国内のイスラム観光客向けにハラル対応する飲食店やホテルの事例、さらには学食でハラルメニューを提供する大学の事例などである。

 

『「ハラル(Halal)」とは、シャリア(Shariah)法(イスラム教の教義に基づく法令)に従っており、許されるものまたは行為という意味である。シャリア法により禁止されるものまたは行為は「ハラム(Haram)」と言われる』(参考文献①より引用)。ハラル食品とはハラムである豚や酒類などを含まない食品のことである。

 

現在、世界のイスラム教徒の人口は16億人であり、2030年には世界人口の1/4以上の22億人になると言われている。このような大きな市場だからこそ、食品企業は採用している戦略や製品分野によってはハラル対応を避けて通ることができなくなっている。

 

ハラル対応をするにあたってまず押さえておかなければならないことは、ハラル認証には世界的に統一された基準が存在せず、国や認証機関によって審査内容や更新ルールが異なるということである。よって、ハラル対応しようとする企業は、どの市場でどの認証を取得するかを慎重に選定しなければならない。認証機関も多数あり、怪しげなところを含めてコンサルも乱立していると聞く。企業は自ら情報収集に乗り出して適切な判断をしなければ、高額なコンサルフィーを支払ったにもかかわらず事業の成果に結びつかないということもありうる。

 

海外で認証を取得する場合は、唯一政府がハラル制度に関与する国マレーシアのイスラム開発局(JAKIM)による認証が有名だ。国策として取組んでいるので対外的な信用があり、マレーシア以外の国でも比較的受け入れられやすいというメリットがある。他方、日本国内の工場で厳密なハラル食品を提供することは容易ではないと言われている。それはハラル制度が「Farm to Table(農場から食卓まで)」という言葉で表される通り、フードチェーンのすべてのプロセスでハラルであることが求められるためである。自社の工場内だけではなく、原料や調味料を製造する他社の工場や輸送プロセスにおいてもハラルであることが必要で、これらを保障することは容易ではない。とはいえ、最近では、国内の工場でもハラル認証を取得した事例が報道されている(2016年12月3日「日乃本食産が製造工場、ハラル認証の和総菜」、2016年11月25日「金砂郷食品、納豆の海外販路拡大 ハラル認証や粘り・におい抑制」 いずれも日本経済新聞)。食品メーカーのハラル対応については、参考文献①で体系的に詳述されており大変参考になる。

 

国内でのハラル対応としては、「ムスリムフレンドリー」と呼ばれるサービスがある。これは、ハラル認証で求められる基準をクリアできるほど厳密ではないが、イスラム教徒に対して一定の配慮を示すというサービスである。例えば、飲食店でメニューの成分表を明示する、ノンポーク・ノンアルコールのメニューを分かりやすく表示するなどである。

 

2014年、2015年とアメリカの著名旅行雑誌で世界の人気観光都市ランキング1位に輝いた京都では、旅行客向けのハラル対応が進んでいる。がんこフードサービス株式会社が展開する「がんこ京都三条本店」などはその例である。政府としても観光立国を推進しており、アクション・プログラムを策定してさまざまな施策を行っている。さらには2020年の東京オリンピックで多くのイスラム教徒を含む外国人が来日することを考えると、彼らの国内での食事や土産を提供することで自社の製品・商品を世界のイスラム教徒に認知してもらうよい機会である。

 

ハラルに対応するためには、イスラム文化を理解してある程度の投資も必要である。しかし、これは企業にとってのコストであると同時に競合他社にとっての参入障壁でもある。この世界人口の4分の1を占める市場に参入するか参入しないかは各企業の経営判断である。ただし、ある程度の情報収集をして主体的に判断しないと大きなビジネスチャンスを逃すことにもなりかねない。

 

【参考文献】

①ハラル食品マーケットの手引き  並河良一著  日本食糧新聞社

②ハラルマーケットがよくわかる本  ハラルマーケット・チャレンジ・プロジェクト著  総合法令出版株式会社

③ハラールマーケット最前線  佐々木良昭著  実業之日本社

(参考:がんこ京都三条本店


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