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投稿日:2025.10.29 

LED照明なら虫が来ないのは間違い!食品工場周辺の健康診断に【虫の目カメラ】

LED照明なら虫が来ないのは間違い!食品工場周辺の健康診断に【虫の目カメラ】

 

LED照明は、その他の照明機器と比較すると、同程度の明るさでも消費電力が少なく交換の頻度も低いため、ランニングコストを大幅に削減できる経済的な照明として人気です。工場や倉庫などの大規模施設でも、電気代削減を目的に施設内の照明をLEDに交換するケースが増えています。
 
さらに、「LED照明は虫が寄ってこない」と言われることから導入する施設も増えています。例えば、マンションなどの集合住宅では、共用部分の照明をLEDに交換することで、虫が寄って来なくなり、さらに虫を主食とする蜘蛛なども寄り付きにくくなることで、掃除の手間や夜間の快適さが向上します。
 
しかし、LED照明には、全ての昆虫が寄って来なくなるという効果があるわけではありません。
 
そこで本記事では、LED照明と虫の関係について解説するとともに、食品工場周辺の虫よけ対策の策定に有効なシステムをご紹介します。
 

「LED=虫が寄ってこない」という理解は間違い

まずは、LED照明は「本当に虫が寄って来ないのか?」について解説します。この問題について結論からご紹介すると、上でも触れているように、水銀灯や蛍光灯をLED照明にするだけで全ての虫が寄って来なくなるという理解は間違いです。
 
夜間は、自動販売機の灯りや街灯の周りに多くの虫が集まっている姿をよく見かけます。実は、蛾やハエなどの複眼(多数の小さな目が集まってできた目)を持つ虫は、紫外線に集まると言われています。紫外線は、人の目には見えない光線ですが、複眼を持つ虫にとっては見ることができる光線で、低い位置を飛行する虫にとっては、波長の短い紫外線が頼りになるとされ、発光時に紫外線が発生する蛍光灯などに虫が集まる傾向にあるとされています。また、蜘蛛などは、照明が発生させる熱に反応して寄ってくると言われています。
 
一方、LED照明は、複眼を持つ虫が好む紫外線を含まないため、紫外線を目的に虫が寄ってくることが無くなります。
 
また、白熱電球などに比べて熱を放出しないLEDは、熱に引き寄せられる虫(蜘蛛など)も集まりにくくなるとされています。そのため、「LED=虫が寄ってこない」と考えられています。
 
しかし、全ての虫が「紫外線に寄っていく」という性質を持っているわけではありません。例えば、蚊やゴキブリなど、熱や他の光に反応する虫は、LED照明に交換したとしても寄せ付けないという効果は得られません。
 
一般的に、約80%の虫が照明の光に含まれる紫外線に寄ってくると言われています。逆に考えると、それ以外の20%の虫は、紫外線を発生させないLEDに交換しても寄ってくる可能性があります。さらに、LED自体は熱をほとんど持たないものの、基盤が熱を持つため、熱に反応する虫はLEDでも寄ってくる可能性があります。
 

虫が寄ってくる可能性があるLED照明もある

LED照明は、紫外線がほぼ含まれないという特徴から「虫が寄ってきにくい」という効果が得られています。
 
しかし、LEDの中には、紫外線がほぼ含まれないものと、含まれるものがあるという点も注意が必要です。LEDが発光する仕組みは、以下のように、色を組み合わせて白色に見せるという方法が採用されています。
 

  1.  青色LEDを主体として黄色を発光する蛍光体を組み合わせ、疑似的な白色を生み出す
  2. 赤、緑、青、三色のLEDを組み合わせて光の三原則により白色を生み出す
  3. 近紫外LEDまたは紫色LEDによって赤、緑、青の蛍光体を光らせる方法

 
一般に使用されている白色のLEDは、①番の青色LEDを主体としたものです。
 
③番のものは、主に殺菌灯など特殊な用途に使われているのですが、このタイプは紫外線が出るため虫が寄ってくる可能性があります。
 
外灯をLEDにすれば虫の心配がなくなるというわけではないという点はおさえておきましょう。虫の中には、走光性と呼ばれる習性から単に明るさに集まっているものもいます。
 

食品工場の照明設備選びについて

ここまでの解説で分かるように、LED照明は、全ての虫を寄せ付けないという防虫効果のようなものはないものの、蛍光灯などと比較すると虫を誘引しにくくなると考えられます。
 
食品工場は、小さな虫が異物混入の原因となってしまうため、「虫が寄り付きにくい」というLED照明の特徴は非常に有用です。
 
ここでは、食品工場の照明選びについてご紹介します。
 

照明選びのポイント

食品工場に導入する照明機器は、施設内部と出入り口など屋外で注意点が変わります。工場内部の照明については、基本的にHACCP対応を念頭に選定しなければいけません。例えば、以下のようなポイントを重視しましょう。

 

  • ほこりが付着、堆積しにくい構造
    厳しい衛生管理が求められる食品工場では、帯電防止仕様の照明カバーを採用するなど、ほこりが付着、堆積しにくい構造が求められます。また、清掃時にほこりを拭き取りやすい形状など、照明機器の形に注目する必要があります。
  • 耐食性の高いもの
    薬品による消毒を考慮し、室内側に露出する部分に耐食性のある材料が使用されているものが望ましいです。
  • 衝撃による破損の防止
    優れた耐衝撃性能をもつカバーを採用することで、万が一破損した場合でも、破片が飛散しにくい安全対策が求められます。耐衝撃性が高ければ、天井からの異物混入対策になります。
  • 防湿対策について
    蒸気が発生する厨房などは、防湿対策が施されているものが望ましいです。

 

 
昨今では、食品工場向けにHACCAP対応型の照明機器が販売されているため、上記のポイントを確認しながら自社工場の特性に合わせて適切なものを選びましょう。
 
そして、出入り口付近の照明については、可能な限り虫を誘引しないタイプの照明が望ましいです。照明に虫が寄ってくると、人やモノが出入りする際、施設内に侵入する可能性が生じてしまいます。したがって、出入り口付近には、虫が寄り付きにくいLED照明が適していると言えます。
 

虫の目カメラで昆虫類の誘引リスクが調査できる

紫外線は人の目では見ることができないため、工場に設置した照明機器が「虫を誘引する可能性があるのか?」を判断することは難しいです。
 
そこで、昆虫類の誘引リスクを事前に確認する方法として、「虫の目カメラ」を使った方法がおすすめです。
 

イカリ消毒株式会社資料より

引用:イカリ消毒株式会社資料より
 
イカリ消毒株式会社の有害生物リスクナビのメニューの一つ【虫の目カメラ】は、紫外線が出ている照明が明るく映り、出ていない照明は暗く映ります。そのため、紫外線を要因とした昆虫類の誘引リスクを調査することができます。なお、有害生物リスクナビについては、風向きやその他の環境要因も踏まえた診断が可能なため、食品工場の異物混入対策を策定するうえで非常に有効な方法です。
 

まとめ

工場や倉庫などの大規模施設にとって、LED照明は電気代削減を目的に導入される設備として認識されています。しかし、LED照明は蛍光灯などと比較して紫外線をほとんど含まないため、虫が寄りにくくなるという防虫効果も期待できます。
 
ただし、すべての照明をLEDにしたからといって、虫がまったく寄りつかなくなるわけではありません。LEDの中には紫外線を含むタイプもありますし、虫の中には紫外線以外の要因に引き寄せられる種類も存在します。そのため、食品工場などで使用する照明を選定する際には、防虫性能や誘引リスクを総合的に考慮して製品を選ぶことが重要です。
 
なお現在では、飛翔昆虫対策やネズミ対策について、リアルタイムで監視、対応可能なシステムも豊富です。食品工場の安全性を高めるためにも導入を検討してみてはいかがでしょうか。オンライン防虫防鼠監視対策システムについては、以下の資料をご確認ください。 
 
オンライン防虫防鼠監視対策システム

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。