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投稿日:2024.11.22 
更新日:2025.05.01 

食品工場建設の費用相場例と見積もり項目について解説

食品工場建設費用と見積もり
 

食品工場の建設を検討する際に、ある程度の目安となる費用を把握できると予算が組みやすくなりますが、そもそも食品工場建設の際の見積り項目はどういったものが含まれているべきなのでしょうか。

本記事では多岐にわたる食品工場建設における見積項目を解説します。

 

食品工場の建設費用相場

食品工場単体の建設費用の相場を算出するのは難しいですが、工場の構造別に坪単価の平均は算出できます。国土交通省の「建築着工統計調査」によると、次の結果が得られました。
※計算方法:まずは、同調査の床面積の数値を坪に換算します。次に、「用途別・構造別/建築物の数・床面積・工事費予定額」の「工場および作業場」より、工事費予定額 ÷ 床面積(坪)で算出し、小数点第一位を切り捨てています。

工場建設の単価費用と推移グラフ(構造別)

構造別 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
全構造平均 約65万円 約70万円 約71万円 約86万円 約108万円 約117万円
鉄骨鉄筋コンクリート造 約83万円 約67万円 約141万円 約208万円 約117万円 約176万円
鉄筋コンクリート造 約92万円 約130万円 約202万円 約111万円 約163万円 約218万円
鉄骨造 約65万円 約70万円 約69万円 約82万円 約107万円 約115万円
木造 約43万円 約44万円 約45万円 約57万円 約63万円 約64万円

■構造別工場建設の一坪当たりの建築費水準推移グラフ

工場建設の単価の推移グラフ(構造別)

■Factasの工場建設実績における年別平均坪単価

平均坪単価
竣工年 2014年 2016年 2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2024年
大阪 約91万円 約124万円 約84万円 約101万円 約132万円 約131万円
東京 約76万円 約67万円 約96万円 約92万円 約127万円 約109万円 約159万円

 

食品工場建設費用の見積り項目

食品工場建設の際に考慮すべき見積り項目は、下記のとおりです。

食品工場で特に重要な項目 大項目 中項目 説明文
A 共通仮設工事 現場事務所、仮設トイレ、仮囲いなど工事完了後に撤去される一時的な仮設工事です。
B 建築主体工事 建築物の構造体を構築する主要な工事の総称です。

ここに含まれる各種工事の簡単な説明は以下の通りです。

直接仮設工事 足場の組立・解体や建物の養生など、建物を建てる際に工事に直接関係する仮設工事です。
土工事 建物の基礎作りや地盤改良を目的として地面を掘ったり、傾斜地に土を盛り土地を平坦にする工事です。
杭工事 地中に杭を打ち込むことで建物を支える地盤を補強する工事です。
コンクリート工事 建物の構造体である基礎や床を生コンクリートで構築する工事です。
型枠工事 コンクリートを流し込むための枠組みを作る工事です。
鉄筋工事 コンクリートの強度や耐久性を高めるために鉄筋を組む工事です。
鉄骨工事 鉄骨を組み立て、建物の骨組みを作る工事です。
耐火被覆工事 鉄骨造の骨組みを火災の熱から守るために、モルタルやロックウールなど耐火性のある材質で覆う工事です。
屋根外壁工事 屋根と外壁を構築する工事です。
防水工事 建物内への水の侵入を防ぐため防水処理を施す工事です。
タイル工事 美観、および防水性や耐久性を高めるために床や壁面にタイルを張り付ける工事です。
木工事 木材を加工し、組立から取付までを行う工事です。主に内装材で使用します。
金属工事 金属を加工し、建物に合わせた部品を作り取付をする工事です。階段の手摺やステンレス製の鏡などが含まれます。
左官工事 コンクリートやモルタルの仕上を行う工事です。
金属製建具工事 アルミ・スチール・ステンレスなど金属を用いて作られたドアや窓などの建具を設置する工事です。
ガラス工事 ガラスを加工し、窓や洗面台の化粧鏡などのガラス製品を設置する工事です。
塗装工事 美観、および防水性や耐久性を高めるために壁、床、天井などに塗装を塗る工事です。
内装工事 タイルカーペット、壁紙、石膏ボードなど建物内部の壁、天井、床などの仕上をする工事です。
断熱パネル工事 建物の断熱性を向上させるためのパネルを取り付ける工事です。
仕上ユニット工事 エアシャワーやトイレブースなど仕上った製品を現場で設置する工事です。
雑工事 資材の搬入や清掃など、他の項目に該当しない工事を示す項目です。
C 電気設備工事 建物の安全と機能を確保するために必要な電気系統を設計、施工する工事です。

これらの工事は、専門の技術が求められるため、資格を持った電気工事士あるいは主任技術者が監督が必要です。

電力引込設備工事 電力会社の責任分界点から、建物へ電力を供給するための設備を構築する工事です。
変電設備工事 受電した高圧電力を使用するために低圧電力に変換する設備工事です。
幹線設備工事 建物内での主要な電力供給路を構築する工事です。
動力電源設備工事 機械などの動力源として必要な電気を供給する設備を構築する工事です。
電灯設備工事 照明用の電源と配線を設置する工事です。
コンセント設備工事 電気を使用するためのコンセントを設置する工事です。
照明器具工事 室内や外部の照明器具を設置する工事です。
非常照明の誘導灯設備工事 停電が起きた場合や緊急避難時に法律で定められている非常照明・誘導灯を設置する工事です。
電話設備工事 電話システムの配線や端末の設置をする工事です。
ネットワーク設備工事 インターネットを使用できるようにするために、ネットワークの配線、関連設備や機器の設置を行う工事です。
放送設備工事 建物内の非常放送や業務放送行うためにアンプやスピーカーといった機器を設置する工事です。
インターホン設備工事 建物の入り口や各部屋にインターホンシステムの設置を行う工事です。
テレビ共聴設備工事 多くの部屋にテレビ信号を配信するアンテナやブースター、分配器などの設備を設置する工事です。
機械警備設備工事 監視カメラやセンサーなど、機械警備システムの設置を行う工事です。
自動火災報知設備工事 火災による煙や熱を早期に感知し、警報ベルなどで建物内にいる人に火災を知らせる設備を取り付ける工事です。
弱電引込設備工事 電話やデータ通信といった弱電信号用の配線を建物に引き込む工事です。
D 給排水衛生設備工事 建物内の水の供給、排水処理、衛生管理を適切に行うための設備を整える工事です。

特に水の安全性と衛生的な管理が求められるため、専門の技術と知識が必要です。

給水設備工事 建物に水を供給するための配管システムを設置する工事です。
給湯設備工事 温水を供給するためのボイラーや配管を設置する工事です。
排水設備工事 使用後の水や排水を適切に排出するための配管を設置する工事です。
衛生器具設備工事 トイレや洗面所、浴室などの衛生器具を取り付ける工事です。
エアー配管設備工事 圧縮空気を使用する設備への配管を行う工事です。
ガス設備工事 建物にガスを供給するための配管や関連設備を設置する工事です。
冷水配管設備工事 冷水を供給するための配管を設置する工事です。
温水配管設備工事 温水を供給するための配管を設置する工事です。
屋内消火栓設備工事 建物内に消火栓とその配管を設置する工事です。火災時の初期消火を助けるために重要です。
排水処理設備工事 廃水を処理するための設備を設置する工事です。環境への影響を軽減します。
採水口設備工事 消防隊が消火活動をするために設置された水槽から水を汲み上げるための設備工事です。
凍上防止配管工事 冷凍庫の冷熱による凍上を防ぐために配管を埋設し通気させる工事です。
E 空調換気設備工事 建物内の生活環境や生産活動に必要な温湿度、換気量などを整えるための工事です。
空調機器設備工事 熱源、省エネ、操作性などを考慮して空調機器を選定、設置する工事です。
空調配管設備工事 空調機器を運転するために、様々な配管を施し設置する工事です。
換気機器設備工事 法的、生産活動に必要な喚起を行うための設備です。
ダクト設備工事 空調、換気を行うための空気を搬送するために風導管を設置する工事です。
F 冷凍冷蔵機器設備工事 建物内に冷凍や冷蔵を行う機器を設置し、それに必要な配管や電源の接続を行う工事です。

これらの設備工事は、専門的な知識と技術を要求されるため、資格を持った技術者が行うことが一般的です。

また、これらの設備は建物の安全、効率、快適性を大きく向上させる重要な役割を担っています。

冷媒・ドレン配管設備工事 冷却システムに使用される冷媒ガスの配管と、凝縮水の排出を行うドレン配管を設置する工事です。
二次側電気設備工事 コンデンシングユニットとユニットクーラーを自動制御するための工事です。リモコン、センサー、コントローラーの設置も含みます。
搬入据付工事 コンデンシングユニットとユニットクーラーを現場に搬入し、適切な位置に設置・固定する工事です。
監禁警報装置工事 不意の事故により冷凍・冷蔵庫内に閉じ込められてしまった際、外部に通報し救護を求めるための装置を設置する工事です。
集中監視装置工事 冷凍・冷蔵設備を中央で監視・制御する工事です。
I 外構工事 建物の外側に位置する構造物や施設の構築を行う工事です。

これには、門、塀、歩道、駐車場などが含まれます。

これらの工事は、建築物の機能性だけでなく、美観や環境への配慮を要求されるため、それぞれ専門的な知識と技術が必要です。

舗装工事 人や車が安全に通行するために道路、歩道、駐車場などをアスファルト、コンクリートで敷き固め、耐久性を高める工事です。
囲障工事 敷地の周囲にフェンスやブロック塀を設置する工事です。防犯対策やプライバシーの保護、敷地の明確化といった目的があります。
排水工事 雨が降った際に雨水を貯留槽に一時的に貯め、排出する際に適切な水量をコントロールするための設備を作る工事です。
植栽工事 建物の敷地内に草花や木を植える工事です。景観づくりだけでなく土壌保全など環境の改善を目的としています。
その他工事 ゴミ収集庫、郵便ポスト、サイクルポートの設置などの上記の項目に当てはまらない様々な小規模工事を指します。
解体撤去工事 既存の構造物を解体・撤去する工事です。アスファルト舗装や塀の撤去及び処分、がれきの処分などが含まれます。
開発工事 土地の区画整理や、切土や盛土をし土地の形状を変更する工事です。環境保全のため開発工事を行うには都市計画法に基づいた許可が必要です。

以上の項目で適切な見積もりを算出するためには、食品工場建設の計画・設計フェーズが重要になるため、これから建設をご検討の企業様はこちら【食品工場を建てるまでの基礎知識から計画立案まで】をご確認ください。

 

食品工場の建設費用が高騰している?

食品工場に限った話ではありませんが、建設工事全体の費用は年々高騰しています。

その理由としては、以下が挙げられます。

  • 資材不足による物価上昇
  • 建築業界の人手不足
  • ガソリン代・電気料金の高騰
  • 働き方改革によるコストへの影響
  • 法定福利費の明示義務による人件費の増加

上記を見ると、木材のひっ迫によるウッドショックや、鉄材不足によるアイアンショックなど資材不足に加え、人手不足や人件費の増加など労務に関わるコストが増えていることが建設費用高騰の大きな要因となっています。働き方改革による長時間労働の制限なども大きく影響しているでしょう。建材の高騰などは今後落ち着く可能性はありますが、労務費は確実に上がっていきます。

 

食品工場の建設費用を抑えるためのポイント

最後に、食品工場の建設費用を抑えるためのポイントをご紹介します。

 

実績がある施工会社を選ぶ

食品工場の建設費用を抑えるためには、実績がある施工会社を選ぶことが重要です。食品工場の建設費用を抑えるためには、出来るだけスムーズかつ効率よく、計画を進めていく必要があります。そこで実績のない施工会社を選んでしまうと、やり取りに時間がかかったり設計変更を余儀なくされる可能性もあります。特に、消火設備や排水の環境基準など、専門知識と行政との折衝が要求される工場建設においては実績をよく確認しましょう。

 

設計施工一貫方式の業者を選ぶ

食品工場の建設に関しては、設計施工一貫方式を採用している業者をおすすめします。設計施工一貫方式であれば、監理業務を施工会社の検査工程に組み込むことができ、柔軟な設計変更への対応も可能です。反対に分離方式は、一般的には設計料+監理費用を支払うため、プロジェクト途中に計画変更があった際、追加の設計料や管理業務に対する費用が掛かる可能性があります。そのため、設計施工一貫方式の業者を選ぶことでこのようなリスクを回避できます。

建設会社の選び方でさらに詳しく説明しています。

 

まとめ

今回は、食品工場建設の見積もり項目について解説しました。食品工場の建設費用は、規模や設備、立地など様々な要素によって大きく変動します。そのため、計画段階での正確な見積りは難しいですが、必要な見積もり項目をしっかりと理解したうえで適切な計画書を作成出来れば最終的な見積りに近い参考価格の算出が可能です。

食品工場の見積りに関するご相談は、三和建設のFACTASにお問い合わせ下さい。FACTASは、長年食品工場関係のお客様に恵まれ、数多くの食品工場建設や改修・増築を手がけてきた実績とスキルを活かし、ゼネコンでありながら、計画から保守まで一貫したプロジェクトマネジメントをご提供します。
食品工場を新設するまでの基礎知識

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。