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食品

投稿日:2014.11.29 
更新日:2022.03.28 

食品ロスについて

農水省のホームページ(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/)によると、

『「食品ロス」とは、食べられるのに捨てられてしまう食品をいいます。食品ロスを削減して、食品廃棄物の発生を減らしていくことが重要です。』

とある。

 

食品ロスについて統計的な数値を見てみよう。まず事業用・家庭用の食用仕向量が年間8339万トンある。このうち廃棄物等は2797万トンで、さらにその中の食品ロスは632万トン(仕向け量の7.6%)と試算されている。食品ロスの内訳を見てみると、事業系が330万トン、家庭系が302万トンと推計されている(農水省H25年度推計値)。

 

食品ロスは肥飼料として再利用されたり、焼却・埋立により処分される。特に家庭系の食品ロスについては、そのほとんどが焼却・埋立により処分されている。

 

年間食品ロスを中間値の650万トンと考えると、一人当たりの食品ロスは約50kgになる。一人当たりの食品ロスで比較すると、欧州は95kg、北米は115kg、南・東南アジアは11kgなので日本の食品ロスは先進国と発展途上国の中間値であると言える。

 

事業系の食品ロスには、規格外品、返品、売れ残り、食べ残しなどがある。家庭系の食品ロスには、食べ残し、過剰除去、賞味期限・消費期限切れ品の直接廃棄などがある。

 

事業系の食品ロスに大きな影響を及ぼす商習慣としていわゆる「3分の1ルール」がある。メーカー(卸)と小売店と消費者で賞味期限を3等分するという考え方だ。小売店は賞味期限の1/3を超えたものは返品(もしくは受取拒否)し、2/3を越えたものは廃棄(一部値引き販売)する。このルールがメーカー・卸・小売店に大量の食品ロスを発生させているという事実がある。因みに小売店への納品期限は、アメリカでは2分の1、イギリスでは4分の3となっている。日本でも2013年8月から一部の企業間で2分の1に緩和する実験に取組んでいる。

 

他にも食品ロスを削減する様々な取組が行われている。外食店では、メニューの小盛り対応や無料でドギーバックを配布して食べ残しを持って帰ってもらうなどの取組が行われている。さらにNPO法人によりフードバンクという活動が行われている。包装の印字ミスや賞味期限が近いなどの理由により通常の販売が困難な食品をメーカー等から引取って福祉施設等へ無償提供するボランティア活動である。

さらに消費者庁などによる「NO-FOODLOSSプロジェクト」という啓蒙活動も行われている。ロゴマークも定められており、いわゆる「もったいない」精神で食品ロスを削減しようという国民活動である。

 

 

まさに官民挙げての取組である。では、食品ロスは減っているのだろうか?平成20年~25年のデータをみると、概ね600~700万トンで 推移しており、決して大幅に削減に向かっているとは言えない。

 

なぜ?

それは国民ひとりひとりが本気で減らそうという気にまだなっていないからだろう。それにはそもそも「なぜ食品ロスは悪なのか?」ということを突き詰める必要がある。あなたは子供に聞かれたらなんと答えるだろう?

「食事をつくってくれる人に悪いから。」(昔はよく「お百姓さんに悪いから」と教えられてきた)

「飢餓に苦しむ人々に悪いから。」

「つくるのにも処分するのにも無駄なエネルギーを消費するから。」

「海外から見て日本人として恥ずかしいから。」

・・・

食料問題を取り扱った本(参考文献③)には次のように書かれている。

『食品ロスはなぜ問題となるのか。それは、世界で穀物の需給が逼迫し、食料価格の高騰がいまや常態化している中、食品や食材を無駄なく使って食品ロスをなくすことが、世界の食料需要の安定化に少なからず役立つからである。』

 

この問題(なぜ食品ロスは悪なのか?)に正しい一つの答えがあるわけではないが、筆者は次のように考える。

「人間は、動物はもちろんのこと植物も含めて多くの命をいただいて生きている。生きものへの尊敬の念があれば、決してそれらの命を無駄にしてはいけない。だから食べ物を無駄にしてはいけないのである。これは、コストや効率性の問題ではない。人間としての姿勢の問題である。」

 

どう考えるかは人それぞれとしても、「なぜ食品ロスは悪なのか?」ということを真剣に考え、それを次世代の子供たちとも共有することが最も食品ロスを削減することに寄与するのではないだろうか。

 

【参考文献】

①平成25年9月農林水産省 食品ロス削減に向けて~「もったいない」を取り戻そう!~

②月刊食品機械装置2014年5月号寄稿『食品ロスと包装・流通の役割』

③史上最強カラー図解 最新 世界の農業と食料問題のすべてがわかる本

谷 直人

この記事を書いた人

sande

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。