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投稿日:2021.01.22 
更新日:2025.10.08 

【工場の結露対策】結露・霜が発生する原因と対策まとめ

『結露』の基礎知識と対策についてご紹介します。

結露については、一般住宅などでも問題になることが多く、どのような建物だとしてもできるだけ結露が発生しないように、さまざまな対策がとられています。この結露は、室内と室外の気温差が大きな原因となるのですが、食の安全のために冷蔵庫や冷凍庫、低温作業室が備えられている食品工場や冷蔵倉庫などでは、部屋ごとの気温差が大きくなることから、非常に結露が発生しやすい条件が揃っていると言えます。したがって、こういった施設では計画段階から細心の注意を払い結露対策に取り組まなければいけないのです。
そこで今回は、そもそも結露がどういったメカニズムで発生するものなのか、結露問題を解決するにはどういった対策を取れば良いのかをご紹介します。

工場で結露による被害

工場で結露が発生することで主に次のような被害が考えられます。

  • カビの発生:健康被害や異物混入、製品の品質低下を引き起こし、除去後も再発するリスクがある。
  • ダニの発生:湿度上昇によってダニが繁殖し、アレルギーや製品の品質低下を招く。
  • 転倒・スリップ事故:床が濡れて転倒やフォークリフトの事故が発生する可能性がある。
  • 結露によるサビの発生:設備や製品が腐食し、交換や廃棄が必要になることがある。
  • 漏電・感電のリスク:結露による漏電や機械の故障、感電事故が起こる可能性がある。
  • 建材の腐食:建物の劣化が進み、メンテナンスコストが増加する。

結露の主な原因は、湿気と屋内外の温度差によるものであり、適切な対策を施すことで、これらの被害を未然に防ぐことが可能です。

工場で結露が発生しやすい理由

結露は、湿度が高い環境で冷たい表面に水蒸気が凝縮する現象です。具体的なメカニズムは以下の通りです。

1.温度差による冷却:結露は、室内の湿度が高いと、冷たい表面(窓ガラス、金属、壁など)に水蒸気が接触することで発生します。冷たい表面は、室内の温度よりも低いため、水蒸気が冷却されて液体の水として凝縮します。

2.湿度の影響:湿度が高いほど、室内の空気中に含まれる水蒸気の量が増えます。湿度が高い状態で冷たい表面に接触すると、結露が発生しやすくなります。

3.適切な換気の欠如:適切な換気がない場合、室内の湿気がこもりやすくなります。湿気がこもると、結露のリスクが高まります。

結露を防ぐためには、適切な換気を行い、室内の湿度を管理することが重要です。

工場の結露対策方法5つ

工場内で結露が発生すると、設備の劣化やカビの増殖など、さまざまな問題が生じる恐れがあります。ここでは、工場で実施すべき4つの結露対策を紹介します。

適切な空調管理

室内外の温度差の影響を軽減し、適切に管理することが結露の発生を防ぐ重要なポイントです。湿度を低く保つことで空気中の水蒸気が結露する可能性が低くなるため、除湿器を設けたり、そもそも設計時の条件より低温多湿にならないよう、定めた運用を守ることが重要です。

断熱パネルを設置する

断熱性能を有する断熱パネルは、工場外部の温度変化から工場内部を遮断し、内部の温度を安定させることが出来ます。必要な厚みの断熱パネルを選んで設置することで、結露が発生しにくくなります。

遮熱シートを天井や壁に設置する

結露は室内外の温度差によって発生します。
遮熱シートは、太陽の熱を反射・吸収することで、室内外の温度差を抑えることができます。遮熱シートを天井や壁など、外気の影響を受けやすい場所に施工することで、室内外の温度差を減らし、結露の発生を防ぐことができます。
ただし、遮熱シートが室内の空気に直接触れてしまうと、かえって結露が起こることもあります。そのため、施工の際は室内の空気と接しないように注意して設置します。

エア搬送ファンを導入する

エア搬送ファンは室内に空気の流れを作り出し、換気や空調環境を改善できる送風システムです。導入することで、工場内に滞留した蒸気や熱を外へ排気し、結露の発生を抑制します。

外気処理機を導入し生外気を入れない設計を行う

生外気を直接取り入れると工場内と空気との温度・湿度の差で結露が生じやすくなるため、外気処理機を使用して空気を適切に調整することで結露の発生を抑制できます。

上記の結露対策を組み合わせることで、工場内の結露を最小限に抑えることができます。特に食品工場などの環境では衛生面や製品品質の観点から、結露を発生させにくくします。

以下の記事では、冷蔵・冷凍庫の結露・霜の対策方法について詳しく説明しております。
冷蔵・冷凍庫で結露・霜が発生する原因と対策方法

工場結露対策の施工事例

ここではFactasの工場結露対策の施工事例を紹介します。

株式会社東海コクボ 三島工場施工実績

株式会社東海コクボ 三島工場の写真

・所在地
静岡県三島市
・竣工
2021年04月
・構造
鉄骨造2階建

施工事例の詳細情報はこちら

田辺商事株式会社 東京ベイ支店

田辺商事株式会社 東京ベイ支店の写真

・所在地
千葉県市川市
・竣工
2023年3月
・構造
鉄骨造2階建て

施工事例の詳細情報はこちら

結露・カビ発生チェックリスト

項目 チェック内容 対応・備考
視覚チェック 床・壁・天井に水滴・シミがないか 発見時は「いつ・どこ・程度・温度」を記録し共有
扉、金属部の湿り具合 開閉頻度による変化が大きければ、外気流入やエアカーテン故障の可能性
白い汚れ(白華)、サビの発生 長期間水分が停滞しているサイン(コンセントやヒンジ部に要注意)
触覚チェック ゴムパッキンのベタつきや柔らかさ 経年劣化による密閉性低下、結露の主因
断熱扉の表面温度 手のひらで触れて極端に冷たい場合は断熱不足、ヒーターの故障を疑う
嗅覚チェック カビ臭い・金属っぽい匂い 空調停止中の閑散時間に嗅覚で確認。VOC計は不要
簡易計測チェック ハンディ温湿度計で露点差確認 外気・作業空間・冷却面の3点計測。露点差8℃が5分以上続くと要警戒
ドア開放時間の計測 基準値±20%を超えた場合は動線改善を検討
定期メンテナンス ドレンパン・排水トラップ清掃 清掃日を記録・表示し、予定と実績を可視化
フィルター圧損値の記録 新品時比30%超で洗浄・交換。圧損は湿気負荷上昇のサイン
異常時アクション 発見した状態の環境計測 異常時の写真・数値を共有し改善処置を行う
対応後の記録提出 写真・数値でビフォー/アフターを共有し改善を周知

まとめ

今回は、工場に起きやすい結露問題について、そのメカニズムや対策方法をご紹介しました。さまざまな食品を取り扱う施設で結露を放置してしまった場合、結露が原因となりカビが繁殖し、異物混入事故の原因となってしまいます。そうならないためにも、早めにご相談ください。

三和建設では結露対策を実施した工場・倉庫の建設やHACCP対応の食品工場建設の事例が多数ございます。
食品工場建設や改修をご検討の際は是非ご相談ください。

食品工場の施工実績はこちら

この記事を書いた人

辻中敏

安藤 知広

FACTASブランドマネージャー
執行役員東京本店長

1994年当社入社、工事管理者として工場建設における問題と多くの事例を経験。
2013年から東京本店次長として数多くの食品工場建設のプロジェクトリーダーを務める。
2018年10月ファクタスブランドマネージャーに就任し、食品工場建設における技術の体系化を進めております。